OA枠を最も効果的に使えるのは日本ではないか。「助っ人外国人のよう」と久保が評した3人の招集でメダルへの視界が開けた【ジャマイカ戦|戦評】

2021年06月12日 江國 森(サッカーダイジェストWeb編集部)

シュート数17対0と圧倒

吉田(左)、遠藤(右)、酒井のオーバーエイジ3人は劇的な効果をもたらした。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

 東京五輪に向けて強化を進めるU-24日本代表は6月12日、ジャマイカA代表との国際親善試合に臨み、4-0の大勝を飾った。

 当落線上の選手を中心に起用したA代表との"兄弟対決"は0-3で敗れ、オーバーエイジ3人を含む現状のベストに近い布陣で臨んだU-24ガーナ代表戦は6-0で圧勝。メンバー選考前最後の試合となったジャマイカ戦では、攻守ともに機能し、終始相手を圧倒した。シュート数17対0という公式記録からも、どれだけ圧倒的に押し込んでいたかは一目瞭然だ。

 たしかに、ジャマイカのクオリティや戦術レベルは高くなかった。ただ、昨日の試合で森保ジャパンに0-1と敗れたセルビア代表とは、1-1で引き分けている。イングランドでプレーする選手を中心としたA代表であり、少なくともU-24ガーナ代表よりは歯応えのあるチームだったのは間違いない。

 その相手に付け入る隙を与えず、完勝した点は評価できる。危ない場面がなくはなかったが、守備陣が崩されたシーンはほとんどなかった。

 この試合では、負傷離脱の冨安健洋に代わって、前半は町田浩樹、後半は冨安の代役として追加招集された瀬古歩夢が、吉田麻也とCBを組んだが、綻びは見せなかった。やはり、隣にいるオーバーエイジ(OA)のキャプテンの存在が大きいのだろう。

 その吉田以上のプレゼンスを発揮したのが、同じくOAの右SB酒井宏樹とMF遠藤航だ。前者は、鋭い読みを活かしたインターセプトを見せ、1対1の対応もほぼ鉄壁。後者は、的確なポジショニングでピンチの芽を摘み、42分には狙い澄ましたミドルで貴重な追加点を奪って見せた。

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 OAの3人を中心にまず守備を安定させ、攻撃は2列目の久保建英と堂安律を中心に五輪世代に伸び伸びプレーさせるという、森保一監督、横内昭展コーチの思惑は、計算通りだった。

 FWの上田綺世が2試合連続ゴールを挙げたことで、もう「大迫勇也をオーバーエイジで招集するべき」という声があがることもないだろう。

 五輪でライバルとなる国に目を向ければ、欧州勢はEURO、南米勢はコパ・アメリカ、北中米勢はCONCACAFネーションズリーグと、それぞれA代表がビッグトーナメントに挑むため、そこに出場した選手が五輪と"掛け持ち"をすることは、ほぼないと思われる。本人に意欲があっても、クラブが許可をしないからだ。

 そもそも、五輪世代の主力数人がEUROに招集されたスペインのようなケースもある。そう考えると、日本ほどOAを効果的に使える国は他にないのではないか。

 久保建英はジャマイカ戦後、オーバーエイジの3人のことを「助っ人外国人のよう」と独特の言い回しで表現した。それだけ、頼れる存在ということだろう。計算できる助っ人が3人も加わったことにより、3月の時点ではぼんやりとしていたメダル獲得という目標に向け、一気に視界が開けた気がする。

 細かなコンビネーションや最後の30メートルの精度など、まだ修正すべき点は少なくない。それでも、本番への期待を抱かせる結果と内容で、6月シリーズを締めくくった。

取材・文●江國森(サッカーダイジェストWeb編集部)

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