ホーム最終戦で大勝!! 前節と同じ轍を踏まなかったミラン――ミラン 3-0 トリノ

2015年05月25日 サッカーダイジェストWeb編集部

貢献度は低くはなかったが……評価が難しいミランの背番号10。

勝利に貢献したことは間違いない本田だが、物足りなさも感じた。ミラニスタの目に、彼のプレーはどのように映っただろうか。 (C) Getty Images

 セリエA第37節、ミランはトリノを3-0で下し、今シーズン最後のホームゲームを白星で飾った。完封勝利は第24節のチェゼーナ戦(2-0)以来、そして3点差勝利は今シーズン初のことだった。
 
 欧州カップ戦出場の可能性を残すトリノに対し、何の目標もないミラン。モチベーションはアウェーチームの方がより高いものを有していると思われたが、ミランがシーズンをどのようなかたちで終えるかは来シーズンにも関わる問題であり、ここでどれだけ奮起できるかが興味深くもあった。
 
 果たして、ミランは予想以上に高い集中力を持って試合に臨んだ。プレーの効果・効率という点ではトリノがやや上回ったが、ミランは決定的なピンチに陥ることもなく、攻撃ではピッチを広く使い、素早くパスをつないで相手陣内に攻め入った。
 
 17分にはクリスティアン・ザッカルドのクロスをステファン・エル・シャーラウィが正確にコントロールしてトリノゴールを破るなど、ミランは順調に試合を進める。
 
 しかし41分、アマウリのヒールパスで抜け出そうとしたクリスティアン・モリナーロをザッカルドが引っかけて一発退場。さらにこの判定に異議を唱えたフィリッポ・インザーギ監督も、間もなくして退席処分となる。
 
 ジャコモ・ボナベントゥーラの退場で、それまでの良い流れを失って失点、そして敗北を喫した前節サッスオーロ戦と同じ展開になるかと思われた。しかし、今回は1点リードしていたこともあり、「守備を重視して攻撃はカウンター狙い」と、選手の意識が明確に統一されたことが奏功した。
 
 カウンターでは、ひとり少ないハンデを感じさせず、広く空いたスペースをドリブルとパスで活かしたミラン。55分にマルコ・ファン・ヒンケルがジャンパオロ・パッツィーニとのパス交換から抜け出したところを後方からモリナーロに押されてPKをゲット。これをパッツィーニが決めて自身セリエA通算100ゴールを達成した。
 
 モリナーロの退場で両チームともに10人ずつとなり、ミランの攻撃はさらにその頻度を増す。そして64分、ファン・ヒンケルのトリノDF陣を切り裂くパスで抜け出したエル・シャーラウィがGKとの1対1を難なく制し、ミランを安全圏に導いた。
 
 守備では個人のマッチアップでほとんど負けなかったミランは、トリノが淡白な攻撃に終始したこともあり、クリスティアン・アッビアーティがオマール・エル・カドゥーリとの1対1をスーパーセーブで防いだ場面を除けば、ほとんど危なげなく残り試合を過ごすことができた。
 
 3-0という、何年か前であれば(特にサン・シーロでは)シーズンのうちに何度も見られたスコアを、ミランは37節でようやく実現した。

 ホーム最終戦とは思えないほど空席の目立つサン・シーロだったが、前節と同じ轍を踏むことなく大勝を収めたことで、有終の美とはいかないまでも、いくらか良いムードで、悪夢のシーズンを締めることができたようだ。
 
 そして本田圭佑。チームに落ち着きを与えることとなった2点目のPKを生み出したプレーに絡んだ他、ボールキープやパスで幾度かチャンスを生み出したが、反面、ボールコントロールを誤って相手のカウンターを許したり、パス出しで慎重になりすぎて攻撃を遅らせたりすることも多かった。
 
 ポジションを中央に移した際には、効果的なプレーを見せられたが、右サイドに張ると、良いかたちでボールを得てもその後プレーの選択肢が少なくなってしまった本田。それは好調時のプレーと比べると、明らかに見劣りする感が否めなかった。
 
 グループの一員としての貢献度は決して低くなかったが(時間帯によっては非常に高かった)、"違い"を見せるという仕事については、前節はボナベントゥーラ、そして今回はエル・シャーラウィにお株を奪われたかたち……。ミランの背番号10とは、非常に評価の難しいポジションである。
みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事