森保ジャパンと今夜対決! 来日したセルビア代表の力量はいかほどか。主力不在も侮れない「東欧のブラジル」

2021年06月11日 石川聡

思い出されるのは11年前の完敗劇

3月シリーズを戦ったセルビア代表。主軸の大半が来日を果たさなかったが、攻守にタレントは粒揃いだ。(C)Getty Images

 日本サッカー協会は6月10日、翌11日にノエビアスタジアム神戸で行なわれるキリンチャレンジカップ2021で日本代表と対戦するセルビア代表の来日メンバー19人(うちひとりは負傷のため帰国済み)を発表した。ドラガン・ストイコビッチ監督率いるチームは、国際経験を積ませ、新たな戦力台頭を期待するような顔ぶれとなっている。

 まず、セルビアは2018年のロシア・ワールドカップに出場しているが(1勝2敗でグループステージ敗退)、今回のメンバーでその登録23人に入っていたのはGKプレドラグ・ライコビッチ(スタッド・ランス/フランス)、DFウロシュ・スパイッチ(FCクラスノダール/ロシア)、MFマルコ・グルイッチ(リバプール/イングランド)の3人のみ。しかも、この3人はいずれもロシアで試合出場がなかった。

 また、ストイコビッチ監督の初陣となった今年3月のカタール・ワールドカップ欧州予選3試合で主力を担ったスター選手たちも、今回の来日では不在。ストライカーのアレクサンダル・ミトロビッチ(フルアム/イングランド)、ドゥシャン・タディッチ(アヤックス/オランダ)、セルゲイ・ミリンコビッチ=サビッチ(ラツィオ/イタリア)ら、百戦錬磨の経験豊富な選手たちだ。ストイコビッチ監督は「負傷やコンディションなど、それぞれに事情があって」と、その理由を説明。3月シリーズでレギュラークラスだったのはDFでキャプテンのステファン・ミトロビッチ(RCストラスブール/フランス)、DFストラヒニャ・パブロビッチ(ASモナコ/フランス)、セントラルMFのネマニャ・グデリ(セビージャ/スペイン)の3人である。

 それでもストイコビッチ監督は「若いFWを連れて来て、チャンスを与える。彼らが力を発揮すれば力が落ちることはない」と、その潜在力に期待を寄せる。守備の要となるS・ミトロビッチも「攻撃陣の若い選手はアピールのため、一生懸命に頑張ると思う。なんら不利になることはない」と自信をのぞかせている。セルビアは旧ユーゴスラビアの時代、「東欧のブラジル」と呼ばれて才能豊かな選手を数多く輩出し、一目置かれる存在だった。「ピクシー」こと、ストイコビッチ監督もその一人で、セルビアのレジェンド的存在だ。
 
 無名の選手が多いからといって、侮ることはできないだろう。思い出されるのは、2010年4月に大阪長居スタジアムで行なわれた一戦だ。国内組だけで来日したセルビアは、日本に3-0の完勝。日本も国内組だけだったとはいえ、ここからワールドカップの開催地である南アフリカ入りまで国際Aマッチ4連敗と泥沼にはまり、危機感が一気に募った。なお、セルビアには当時21歳でFKボイボディナ所属のタディッチもいた。

 森保一監督の下では初めて対戦する欧州チーム。カタール大会アジア2次予選で面白いように得点を重ねてきた日本にとって、歯ごたえのある試合になる予感はある。

取材・文●石川 聡

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