【岩本輝雄】オーバーエイジ3人の存在感は絶大。相手が強くなるほど“威力”はもっと発揮されるはず

2021年06月06日 岩本輝雄

本大会でこそ、その凄みが分かるだろうね

吉田(中)、酒井(右)、遠藤(左)。オーバーエイジの3人は貫禄たっぷりのプレーでチームを力強く支えていた。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部/JMPA代表撮影)

 東京五輪に向けた強化マッチで、U-24代表はガーナに6-0で大勝した。この大変な時期にわざわざ日本に来てくれたガーナには感謝したいけど、強化マッチの相手としては……少し物足りなかったのは正直なところかな。

 五輪の初戦は南アフリカ。"アフリカ対策"としてマッチメイクされたんだろうけど、ガーナの選手たちはコンディションなど様々な面で万全ではなかったと思う。勝って当たり前。そういう見方ができるかもしれない。まあそれでも、2日前のA代表戦で負けていたU-24代表にとっては、活気づけられる勝利になったはずだ。

 印象的だったのは、やっぱりオーバーエイジの3人かな。吉田、酒井、遠藤。分かっていたことではあるけど、一つひとつのプレーに貫禄があるし、チームを落ち着かせていたよね。若い選手たちはやりやすかったと思う。

 ひときわ目を引いたのが右SBの酒井。強靭なフィジカルとパワーでガーナの選手たちを圧倒していた。「凄い」の一言。あれだけ後ろで潰してくれれば、前の堂安も楽だったはず。そこまで下がらなくていいし、そのぶん、攻撃に専念できるわけだから。

 しかも酒井は守るだけじゃなく、前にもガンガン出てくる。その飛び出しを相手DFもケアするから、必然的に堂安や、トップ下から右に流れてきた久保がフリーになる状況が増える。流動的に入れ替わってチャンスを作れば、ふたりとも左利きだからカットインで仕掛けられる。堂安と久保の連係はひとつの武器になりそうだけど、それを支えている酒井の貢献度は相当に高いよ。

 CBの吉田は、良質なビルドアップで攻撃をサポート。前の選手たちが相手のライン間にスッと入ってくる。吉田は受け手が"ここで欲しい"というタイミングを見逃さず、縦パスをズバッとつける。そこでパスが通るから、攻撃もスピードアップする。

 遠藤は自慢のボール奪取でピンチを未然に防ぐ。ボランチでコンビを組む田中とも息が合っていたし、お互いに上手く出入りしながらボールを動かしていたよね。
 
 オーバーエイジの3人がドンと構えているからこその6ゴールだったと思う。後ろが安定していれば、攻撃も余裕が出るし、個々がそれぞれの持ち味を発揮しやすくなる。

 吉田も酒井も遠藤も、ヨーロッパで日々、高いレベルで戦っている選手たちだ。代表での経験も豊富で、場数を踏んでいる。もちろんガーナ戦でも本気で、全力でプレーしていたと思うけど、相手は張り合いがなかっただけに、もしかしたらオーバーエイジの3人はその実力の一端を見せたに過ぎなかっただけかもしれない。

 相手が強くなればなるほど、その"威力"はもっともっと発揮されると思う。本大会でこそ、その凄みが分かるだろうね。

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