【独占ロングインタビュー】酒井高徳が語るシュツットガルトでの3年半|中編 「考えることをやめたら、終わってしまうという覚悟がある」

2015年05月20日 遠藤孝輔

頑張れること、考えられることが自分の長所。

さらに熱を帯びる独占ロングインタビュー・中編では、酒井選手がみずからの覚悟を語っている。写真右が、シュツットガルトのクラブスタッフで、以前はコーチ&通訳として酒井選手を支えた河岸氏。

 酒井高徳の独占ロングインタビュー、その中編をお届けする。
 
 話題は、シュツットガルトの練習から、日本サッカーの課題やバイエルンへと広がっていった。
 
インタビュー:遠藤孝輔
協力:河岸貴(シュツットガルト国際部門)
 
酒井高徳【独占ロングインタビュー|前編】はこちら!
 
――◆――◆――
 
――残留争い中も練習内容が変わらないとは、ちょっと意外です。
 
酒井「突き詰めるなら、対戦相手が毎週違うんだから、トレーニング内容も毎週変えなきゃいけないと思います。ただ、練習メニューには限りがあるから、そういうわけにもいかない。
 
 でも、工夫はできるはず。例えば、サイドチェンジの練習をするとします。ルールとかタッチ数を考えれば、工夫できますよね。でも、とりあえずサイドチェンジして、ボールを奪わなければいい、そんな発想の選手がすごく多い。つまりサイドチェンジをポンポンと繰り返すわけです。
 
 リアリティがないですよね。サイドチェンジの連続なんて、試合で起こりませんから。そうならないよう、いろいろ考えながらやっていますよ」
 
――他のチームメイトはどう思っているのでしょうか?
 
酒井「そのあたりを詳しく話したことはありません」
 
河岸「なんのためのサイドチェンジかを考えるのが大事だよね。サイドチェンジできれば1点、なんてルールはないんだから。つまり、監督が選手に求めるプレーが試合でオートマチックに出るようなトレーニングをしなければならない。ゴウの言うとおり、トレーニングのためのトレーニングになるのは、一番よくない」
 
酒井「その日の練習で完結してしまうと、その先に繋がりにくい場合が多い。試合で出せないのは当たり前。だから、試合後に『なぜこういう練習をしたのに、試合で出せないんだ』と言われても、そういう意識で練習している選手が少ないからとしか……」
 
河岸「ゴウは『おかしい』と感じながらも、そうやって工夫して個を高めようとしている。共通理解が浸透しているチームとか、言葉の苦労がない日本のチームだったら、そんなことを考えなくて済むと思うよ。
 でも、いま自分でどう打開するかっていう環境に身を置けているのは大きい。じゅんいちダビッドソン(お笑いタレント)じゃないけど、それこそ伸びしろ。だから、ミランの本田くんもゴウも、海外に出たほうがいいって言うんだと思うし、海外で揉まれている人たちが日本代表を強くするんだと感じている」
 
酒井「本田さんはすごく左足が上手だし、ボールタッチを観ていても小さい頃から巧かったのは分かります。あれだけ上手な人がよく考えているのを見ると、俺のような頭を使わなきゃいけない選手が考えることをやめたら、終わってしまうという覚悟はあります。
 
 だから、良くても悪くても、もう少しこうできたらって突き詰めるんです。反省しなくなったり、あのシーンは仕方がないって割り切るようになったら、伸びなくなります。そう感じるようになったら、選手としてはおしまい。引退する時なのかなと」
 
河岸「ゴウは本当にストイックだと思うよ」
 
酒井「頑張れることと考えられることは、根っからの長所だと思っています。俺が考える良い選手って、考えることと練習で頑張れる人。そういう選手は結果を出せている。結果はそれぞれ捉え方が違うけど、例えば、ちゃんとサッカーができています」

次ページハリルさんが来たから変わっていくと思う。

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