【指揮官コラム】チェンマイFC監督 三浦泰年の『情熱地泰』|「苦労のない人生」はない!

2015年05月18日 サッカーダイジェスト編集部

サンパウロにいる友人からもらった言葉とは?

外国人指揮官である三浦監督にとって、チームの指導に“苦労”はつきものだろう。それでも「勇気を出して踏み込めばそれほどの苦労ではない」と語る。(C) SOCCER DIGEST

 人は「苦労のない人生」を送れたとしたら幸せなのだろうか?
 
 これといった苦労もなく成功を手にし、人生を終えられればそれに越したことはないのかもしれない。なにより、これを自分ではなく、自分の子どもに置き換えて考えれば、親の誰もが我が子に苦労などさせたいとは思わないだろう。おじいちゃん、おばあちゃんともなればなおさらだ。自分の未来を考えてもそれだけは想像できる(笑)。自分の孫に「苦労は買ってでもしろ!」とは言えない。
 
 ただ、僕は「苦労のない人生」というものはないと考える。もちろん、人それぞれの苦労の度合いは計れない。苦労の強度は「重い、軽い」とか「長い、短い」などと数値化はできないだろう。それでも、人生いつの日か訪れる「苦」を乗り越えてこそ、必ず「幸」が見えてくる。僕はそう考えている。
 
 そこで今日のひと言。
「苦労は買わなくても必ず訪れる」
 
 このコラムを、僕は永住権の更新のためにやって来たブラジル・サンパウロで書いているのだが、今回の"ひと言"は、サンパウロに足を運ぶと、必ず僕を可愛がってくれる友人との会話のなかで生まれた。その友人は、サンパウロに住んでもう50年以上、70歳になる人生の大先輩の日本人である。これまでも訪れるたびに多くの話を聞かせてもらったが、今回も短い時間のなかで有意義な話ができた。
 
 改めて思い至ったのは、苦労は買いに行かなくても必ず向こうからやって来るであろうということ。だから、わざわざ苦労をさせようとブラジルにサッカー留学をさせる必要はない。ブラジルに行ってどんな苦しい試練が待っているのか? それもまた人によって違うだろう。ただし、若い頃に苦労と呼べる経験をしていれば、きっと肝心な時に訪れる苦労や困難を撥ね返す力が生まれているかもしれない。

次ページグッと勇気を出して入り込めば、それほどの苦労ではない。

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