【清水】不可思議な試合展開は、当然の敗戦で幕を閉じる

2015年05月17日 増山直樹(サッカーダイジェスト)

本気で「お祓いの必要があるかもしれない」。

前半早々に平岡が負傷し、福村(38)が3バックの一角に入る。その後も長沢、三浦と怪我人が続出し、台所事情はますます厳しく……。 写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

 なんとも不可思議な試合展開だった。
 
 清水の選手交代は、すべて怪我人の穴埋めによるもの。18分に早くも平岡が左足首を痛めると、63分に長沢、75分に三浦がそれぞれ負傷でピッチを後にする。ただでさえ故障による離脱者が多く、厳しい台所事情のなか臨んだ試合でこれだけアクシデントが重なれば、本気で「お祓いの必要があるかもしれない」(大榎監督)。
 
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 指揮官は「前半のアクシデントでゲームプランが崩れた」と説明する。確かに経験豊富な守備者の離脱でチームは浮き足立ち、その悪い流れのなかで先制点を食らった。交代出場の福村は本来、左SBが主戦場で、明らかにやりにくそうにプレーしていた。連係不足からか、ラインコントロールも上手くいっていなかった。
 
 だが、特に響いたのは長沢の交代だと感じる。
 
 背番号9はこの日、何度もフィニッシュワークに失敗するなど決して本調子ではなく、ある選手の話によると「(長沢)駿くんは試合前から"身体が重い"と漏らしていた」ようだ。それでも大前、P・ウタカとの好連係は健在で、そこから多くのチャンスが生まれていた。
 
 長身FWの献身について、河井は次のように説明する。
 
「たとえ勝てなくても空中戦など前線で身体を張ってくれるし、存在感は大きい。(中盤としては)セカンドボールも拾いやすくなるし、いるといないのとでは全然違います」
 
 大前がひとつ下がった位置でゲームを作り、P・ウタカは前線で個のスキルを発揮する。その陰で長沢は潰れ役を担いつつ、次のポジションを取る。この役割分担があったからこそ、それぞれの特長が活きていた。
 
 つまりはバイタルエリアでの崩しはこの3人の呼吸が鍵を握っており、言い返せば、彼らがひとりでも欠けてしまうと流動性は消え失せる。事実、長沢が退いた後の清水の攻撃はすべてが単発で、前半から漂っていた得点の匂いはまるで霧散してしまっていた。

次ページもし北川を長沢同様に前線の基準点にできれば…。

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