「悔しい」の一言では片づけられない強い感情に突き動かされて。鹿島守護神・沖悠哉、リベンジの時

2021年05月21日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

メラメラと燃えるもの。その炎は消えない

今季も鹿島の守護神としてピッチに立つ沖。東京五輪代表のサバイバルでも生き残れるか。写真:田中研治

 慎重に言葉を選ぶ。「すごく言い方が悪いですけど」と本人も承知している。そのうえで、沖悠哉は「復讐っていうか」と口にした。

 日本サッカー協会は5月20日、東京五輪で金メダルを目指すU-24日本代表の6月の強化マッチ2試合(5日・U-24ガーナ戦、12日・ジャマイカ戦)に挑むメンバーを発表した。その後、鹿島アントラーズがオンラインでのメディア対応を実施。メンバーに選ばれた沖は「非常に嬉しく思います」と話し、次のように続ける。

「鹿島での試合の結果だったりを見てもらっての招集だと思うので。鹿島の名に恥じないようにしっかりプレーするのと、まだ代表活動までに試合があるので、まずは目の前の試合に向けて、一つひとつやっていけたらと思っています」

 昨季に続き、今季も鹿島の正GKとしてゴールマウスに立つ。リーグ戦ではここまでの全14試合にフルタイム出場。相馬直樹新体制となってからは、6試合中4試合でクリーンシートを達成している。

 何よりもまずはアントラーズのために奮闘を続けている。その一方で、来るべきチャンスをうかがってもいたはずだ。日の丸を背負い、今度こそ――。

 アルゼンチンとの2連戦が組まれた3月シリーズでも、沖はU-24代表に名を連ねた。だが、3人のGKが選ばれたなかで、沖だけがピッチに立てなかった。1戦目はサンフレッチェ広島の大迫敬介が、2戦目は湘南ベルマーレの谷晃生が最後尾で起用された。沖はその2試合をベンチから見守るしかなかった。

 だが、不貞腐れたり、自暴自棄になることはなかった。「技術的に足りていないところとか、客観的にまずその場で感じることができました」と振り返る。3月の代表活動が終わり、さらに自らを高めるべくトレーニングに励んできた。

 メラメラと燃えるものがあったのだろう。その炎は消えることはなかった。

「悔しいという感情はもちろんですけど……なんかまたちょっと違った感情をその時に覚えて、リベンジというか、すごく言い方が悪いですけど、復讐っていうか」

「悔しい」の一言では片づけられない、それよりももっと強い感情に突き動かされて邁進してきた。その想いは決して忘れることはなかった。

「自分の中でのそういった感情は、また選ばれて、ピッチで表現することしかないと思っていました」
 
 その機会を得ることができた今、より一層、活力が湧いてきているはずだ。ただ代表活動はまだ少し先。まずはJの舞台で漲るパワーをぶつける。

「連戦が続いていますけど、負けることなくこれていますし、監督に求められていることをしっかりやってきているからこそ結果がついてきていると思っています。チームが監督のことを信頼するのは当たり前ですけど、ブレることなくやり続けることが大事。

 5月が終わるまでの連戦、鳥栖、セレッソ、川崎と続きますが、そのあとも試合は続きますし、1年を通したなかの1試合でもあるので、そこに対して気負わず、自分たちがやるべきことをしっかりやって、結果を出したい」

 前節の横浜F・マリノス戦は攻撃陣が躍動して5得点も、守備では3失点を喫した。ゴールを割られたあと、なかなかボールを離さない姿があった。上位相手の勝利を、すっきりと喜べなかったかもしれない。次節の鳥栖戦では、守護神として雪辱を果たしたい。

取材・文●広島由寛(サッカーダイジェストweb編集部)

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