小泉&武田の連係は必見!浦和の“W司令塔システム”が示す可能性

2021年05月20日 多田哲平(サッカーダイジェスト)

武田が怪我から復帰し、約1か月半ぶりに採用された

インサイドハーフでコンビを組んだ小泉(左)と武田(右)。巧みな連係を見せた。(C)SOCCER DIGEST

 まさに波状攻撃だった。

 ルヴァンカップの横浜FC戦で浦和レッズは、立ち上がりから巧みなパスワークを展開。わずか3分で関根貴大のゴールで先制すると、その後も畳みかけるような分厚い攻撃でゴールに迫っていった。

 後半には汰木康也の左サイドからゴール右上を打ち抜くビューティフルショットで追加点を挙げると、そのまま勝利。引き分けすら許されない試合を見事に制し、グループ首位通過を決めてみせた。

 この試合で改めて感じたのが、小泉佳穂と武田英寿の司令塔タイプふたりをインサイドハーフに並べた4-1-4-1システムの可能性である。

 この、いわゆる"W司令塔システム"はリーグ7節の鹿島戦(○2-1)、8節の清水戦(○2-0)、9節の徳島戦(○1-0)でも採用されている。徳島戦では前半11分に武田が負傷交代してしまい、形を変えざるを得なかったものの、鹿島戦と清水戦ではいずれも勝利。とりわけ攻撃面で高い機能性を示した。

 約1か月半ぶりに小泉と武田が並び立った横浜FC戦も、このふたりを中心に良い距離感で小気味よくパスをつなぎ、度々ゴールに迫った。

 CFの興梠慎三も含めた連動性は実に高次元だ。3人が互いに近づきながら小刻みなパスで相手の守備網を素早く切り抜ける時もあれば、そこから一気のサイドチェンジで局面を一気に変える時もある。
 
 さらに両サイドハーフの汰木と関根が積極的に中央に切り込み、SBの山中亮輔と宇賀神友弥がハイポジションを取った時の攻撃は畳みかけるようで、横浜FCのDF陣が翻弄されるのは致し方なかっただろう。フィニッシュやペナルティエリア内でのトラップなど、最終局面での精度が高ければ、2-0以上に点差がついてもおかしくなかった。

 小泉と武田の後ろではアンカーの柴戸海が運動量豊富にピッチを動き回り、巧みにチームのバランスを取っているのもキーポイントだったと言える。

 8節の清水戦後に指揮官は「ボールを持っている時の彼(柴戸)の立ち位置や、状況によって高さを変えるところなどはすごく成長している選手のひとりだと思います。彼は走れて戦える選手で、広い範囲を守れる。それプラス今回は武田、佳穂と3人でうまくボールを動かしながら支配できた」と指揮官は話していたが、1か月のブランクを置いても、この中盤のコンビネーションがハイレベルを維持していたのは朗報だった。

 この横浜FC戦後もロドリゲス監督は、「よりボールを握っていきたいというプランがあった」と武田の起用意図を語り、「彼だけではなく、チーム全体としてすごく良いプレーが出来た」と手応えを語っている。

 もちろん、前掛かりのシステムのため、アンカーの脇にボールを通されるリスクは避けられない。横浜FC戦でもそうしたシーンからピンチを招いていたのは事実だ。

 それでも、この"W司令塔システム"で構築されるスペクタクルなサッカーは見応えがあり、同時に大きな期待感を抱かせるものなのは間違いない。今後の軸となる可能性は十分にあるだろう。

取材・文●多田哲平(サッカーダイジェスト編集部)

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