「レビーはそこまで荒くはないが…」名将ハインケスがバイエルンの新旧エースを徹底比較!両者の共通点とは?

2021年05月20日 サッカーダイジェストWeb編集部

両雄と仕事をした稀有な存在

(左から)レバンドフスキ、ハインケス、ミュラー。3人ともにバイエルンの歴史にその名を刻んだ偉大なレジェンドだ。(C)Getty images

 バイエルン・ミュンヘンのポーランド代表FWロベルト・レバンドフスキは現地時間5月15日に開催された第33節のフライブルク戦で、リーグ戦40ゴールに到達。"爆撃機"の愛称で親しまれた元西ドイツ代表FWゲルト・ミュラーが、バイエルンで1971-72シーズンに達成したブンデスリーガのシーズン最多ゴール記録に並んだ。

 最終節では前人未到の大記録の更新に期待がかかるなか、元西ドイツ代表FWで、3度に渡ってバイエルンで監督も務めたユップ・ハインケスが、ドイツ専門誌『Kicker』に掲載したコラムでふたりの点取り屋を比較している。

 ハインケスは、両雄と仕事をした稀有な存在だ。レバンドフスキとはバイエルンで3期目(監督代行を除く)の指揮を執っていた2017-18シーズンに監督と選手の間柄であり、ミュラーとは代表で23試合を共に戦い、1972年には欧州選手権、1974年には母国開催のワールドカップを制覇。1973-74シーズンにはボルシアMGで30ゴールを挙げ、バイエルンのエースとブンデスリーガ得点王を分け合った仲でもある。

 そんな現在76歳のレジェンドは、かつての教え子からこう振り返る。

「レビーは高度なプロ意識を持ち、目標達成のために仕事の細部にまで気を配り、パフォーマンスを最適化する選手だ。最高の鍛錬を続け、日々自分のためにストレスと回復の完璧なバランスを作り出す方法を正確に知っている。それに彼は脂肪レベルが適切になるように食事に細心の注意を払い、フィットネスと全体的な筋肉の強化に常に取り組んでいる。これが回復力に富み、ほとんど怪我をしない理由でもある。レビーは全ての行為を100%忠実にこなすんだ」
 
 盟友であり、同学年のライバルには、抜群の得点感覚に賛辞を寄せた。

「ゲルトは他の誰よりもタイミング、予測、そしてゴールを決める勘を持っていた。彼は普通のストライカーが行かないような場所にいたんだ。どうやってゴールを決めたのか?足で、頭で、お尻で、立っているとき、倒れているとき、横になっているときに決めたんだ。俊敏性、ターン、ゴールに背を向けてボールを受ける方法、大きなお尻と引き締まった太ももなど、彼は驚異的であり、天才だったね」

 絶対的な存在として君臨する新旧エース。その2人の共通点のひとつには、ストライカーに必要不可欠なエゴを挙げた。

「ゲルトはトレーニングでも負けなかった。自分のチームが後れていると、自分が勝つまで延長を要求した。レビーはそこまで荒くはないが、試合においてはゲルトと差がないね。両者トップレベルのゴールスコアラーに必要とされる健全なエゴも兼ね備えている。

 また、ゲルトは内面的に強い個性を持っていて、自分を主張することを知っていた。気に入らないことがあれば、頑固に反対するんだ。ただ、私たち選手に対してとても社交的で、小さな輪の中に入っても違和感がなく、茶目っ気のあるジョークを言うのが好きだった。

 レビーは、世界を舞台に活躍しているが、外向的な姿勢はない。それでも今では心を開き、ミュンヘンの状況や要求に合わせて行動している。今日、彼は言葉やジェスチャー、態度で道を切り開いているんだ。そして何より、このトップストライカーはそのパフォーマンスで納得させてくれるね」

 偉大な先達が49年前に打ち立てた金字塔に、まずは肩を並べた32歳の後輩。22日のアウグスブルク戦で、記録を自らのものとすることはできるか。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

【PHOTO】現地番記者が選ぶ「過去20年のバイエルン・レジェンドTOP10」を厳選ショットで振り返り!
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