【甲府】ずさんだった樋口采配と佐久間体制で透ける不安

2015年05月14日 渡辺 功

イメージを表現するための手順や手法には甘さが目立ち…。

今季から指揮を執った樋口監督だったが11試合で2勝9敗と結果が振るわず、早々と甲府を去ることになった。写真:滝川敏之(サッカーダイジェスト写真部)

  5月13日、最下位に沈む甲府が樋口靖洋監督の契約解除へ踏み切った。
 
 今季開幕から11試合(2勝9敗)で積み上げた勝点は「6」。過去J2へ降格した二度のシーズンの勝点(07年=勝点13、11年=勝点11 ※11節終了時点)を見比べてみても低迷ぶりは明らかで、さすがにこの成績では契約解除もやむを得なかった。
 
「昨年まで築き上げた堅守の継承」を掲げつつも、樋口監督が目指したのは「ボールを奪う位置を10メートル高くする」スタイル。この方向性自体は間違っていなかったように思う。2年連続で残留を果たしたが、攻撃力不足は1試合平均ゴール数(13年=0.88点、14年=0.79点)からも顕著で、この課題を改善しない限り、いずれチームは頭打ちになっていたはずだからだ。
 
 ただ、その思い描いたイメージをピッチで表現するための手順や手法には、甘さが目立った。
 
 1月下旬に静岡県内で行なわれた1次キャンプでは「ブロックを作って守ることは、昨年からできている。できて当然」(樋口監督)として、前線からのプレッシングに傾注してトレーニングが進められた。しかし、DF青山直晃や佐々木翔らが退団し、最終ラインの顔ぶれが大きく入れ替わったにもかかわらず、"堅守ありき"でチームづくりを進めるのは無理がなかったか。
 
 しかも、そのプレッシングにおいては、細部がないがしろにされた感は否めない。例えば初めてJ1へ昇格した06年当時は、一見闇雲に前からプレスを仕掛けているようで、「相手のボールホルダーの頭を下げさせて、初めてプレッシャーが掛かっている状態」だとする共通認識や、ファーストディフェンダーは必ず二度追い三度追いする、追随する選手はどこのパスコースを消しながら行くなどの、決まり事があった。
 
 そうした細かな裏付けが見られないまま、開幕2か月が過ぎてなお、「前からプレスを仕掛けに行く時と、後ろでブロックを構えるタイミング」が、意思統一できずにいる。

次ページ独自に発掘してきた助っ人候補はまたも期待外れに。

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