【セルジオ越後】三木谷会長のチーム作りは疑問だが。2年契約のイニエスタ、残された最後の宿題は…

2021年05月14日 サッカーダイジェストWeb編集部

イニエスタの年俸が十数億円なら、古橋も本来は5億円でもおかしくない。そうならないのは…

神戸との2年の契約延長を発表したイニエスタ。写真:塚本凜平(サッカーダイジェスト写真部)

 元スペイン代表のアンドレス・イニエスタが5月11日にヴィッセル神戸と2年間の契約延長を発表したね。前日には、「重要な会見」を行なうというちょっと思わせぶりなリリースを出して、世間をざわつかせたけど、ファンにとってはホッと一安心といったところだろうか。

 イニエスタは会見でクラブからの信頼を感じたことを契約延長の理由に挙げていたけど、やっぱり大幅に譲歩したとはいえ、いまだ年俸10億円は下らないと言われる高待遇を保証された面も大きいだろう。世界を見渡しても、今の彼にそこまで出せるクラブはそうあるわけではないし、生活面でのサポートも手厚いようだしね。

 もちろん、プロフェッショナルだからピッチ外での十分なサポートあってこそ、選手はピッチ上でチームのために全力でプレーしようというモチベーションが沸いてくる。破格の年俸を受け取るイニエスタという選手には、それだけの価値があると三木谷会長は見ているわけだ。実際に彼ほど、ひとりでスタジアムを魅了できる選手も限られるしね。

 ただ一方で、三木谷会長は会見の際にアジア制覇も、近い将来の大きな目標として掲げていた。だとすると、イニエスタひとりに何十億円も支払うよりも、代表選手をもっとたくさん集めた方がいい気もするけど、そこはどうなのかな。イニエスタひとりでチーム力を向上させるにも限界がある。現にフロンターレはイニエスタ級のスターはいないけど、リーグで圧倒的な力を誇っているからね。
 
 要するに、イニエスタは"ブランド"。だからヴィッセルの選手としてだけでなく、楽天の広告塔としても価値が高い。その証拠に、楽天のCMに出ているのはイニエスタだけ。いまチームでは古橋が相当頑張っているけど、CMでは見ことがないね。イニエスタが十数億円もらっているなら、確固たる結果を残している古橋だって本来は5億円くらいの年俸があってもおかしくないよ。そうならないのは、親会社への宣伝効果がそれだけ違うということなんだろうね。

 イニエスタが来日して以来、ヴィッセルの成績は着実に上がっているように見えるけど、アジア制覇を目標にするなら、まだまだ相当頑張らないといけない。実際に彼が戦列に復帰してからは成績が落ちている。ビジネスとは違って、サッカーはひとりのスーパースターに頼りすぎてはチームがバランスを崩してしまうことになりかねないからね。
 

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