一連のESL騒動の中、はっきりしないバルサの立ち位置。まるでマドリーの腰巾着のようだ

2021年04月24日 ワールドサッカーダイジェスト編集部

400億円を超える収入に目がくらんだか…

バルサのラポルト会長は「最終的な決定はソシオに委ねる」と語るが……。(C)Getty Images

 一連の欧州スーパーリーグ(ESL)騒動において、いまひとつ不明瞭なのがバルセロナの立ち位置だ。現時点では12あった創設メンバーの中から、主催者であるレアル・マドリーとともに脱退を表明していない2クラブのうちのひとつとなっている。いまなお支持の姿勢を維持しており、その様はまるで、マドリーの腰巾着のようでもある。

 ジョアン・ラポルタ会長の「最終的な決定はソシオに委ねる」というスタンスはもっともらしいが、地元紙『スポルト』はこの発言を、「周囲に猛バッシングが吹き荒れる中での苦し紛れの言い訳」と指摘している。
 
「クラブを超えた存在」というバルサが掲げるスローガンにはさまざまな意味合いが込められており、そこには連帯の精神も含まれる。しかし、エリートだけを集めて独自でリーグを立ち上げるという考え方はその精神に反するもので、実際、矛盾を指摘する声が噴出している。

 ちなみにラポルタは会長選のキャンペーン中、ESL構想について「金儲けを最優先したプロジェクトだ。サッカーの本質を破壊してしまう」と否定的な見解を述べていた。もっとも、「実際に中身を吟味したうえでないと分からない部分もある」と断りを入れることも忘れなかったが、3億5000万ユーロ(約437億5000万円)ともいわれる収入に目がくらんだのだろう。要は、名より実を取ったわけだ。

 つまりはバルサの財政状況は、そこまで深刻であるということだろう。現地からはアーリング・ハーランド(ボルシア・ドルトムント)の獲得やネイマール(パリ・サンジェルマン)の復帰など景気のいい話も聞こえてくるが、今夏の補強に関しては、エースのリオネル・メッシが残留すれば御の字というくらいで考えておいたほうがよさそうだ。

構成●ワールドサッカーダイジェスト編集部
みんなにシェアする
Twitterで更新情報配信中

関連記事