思惑通りにいかなかったザーゴ体制下の鹿島。清水との開幕戦、痛恨の逆転負けで瓦解

2021年04月15日 サッカーダイジェストWeb編集部

「相馬の良さは鹿島の良さでもある」(鈴木FD)

清水との開幕戦は痛恨の逆転負け。この敗戦のダメージは大きかった。写真:滝川敏之

 4月14日、J1の鹿島アントラーズはザーゴ監督の解任を発表した。後任には相馬直樹コーチが新監督に就任。クラブ創設30周年を迎える今季、最重要課題のタイトル奪回に向けてリスタートを切った。

 同日にオンラインでの取材に応じた鈴木満フットボールダイレクター(FD)は、1年余りのザーゴ政権について次のように評価した。

「去年は監督が代わり、選手もかなりの人数が代わって、スタートはちょっと苦労するかなという思いはありました。その通りになったんですが、後半に盛り返して、戦術的にも前からプレッシングというベースもできました」

 昨季は開幕4連敗と出だしで大きく躓いたが、5節の横浜F・マリノス戦でシーズン初勝利を収めたあとは徐々に戦績も安定し、秋口には11年ぶりの7連勝を達成。無冠に終わったが5位でフィニッシュした。

「そのベースに今年はさらに積み上げていく、上乗せして戦っていき、優勝を目指すという狙いがありましたが、それがなかなか上手くいきませんでした」

 なぜ、上手くいかなかったのか。鈴木FDは「いろんな要因があると思います」と明かしたうえで、「去年のベースに上乗せするというスタートが切れず、そのベースを少し崩してしまった状況のなかで、ベースに戻す作業のスタートになってしまった。それでなかなか嚙み合わなかった」と語る。

 清水エスパルスとの開幕戦、途中までは順調だった。思い通りのスタートを切れるはずだった。0-0で迎えた75分、荒木遼太郎のゴールで先制に成功する。あとはこのリードを守り切るだけだったが……。

「それなりにゲームをコントロールしているなかで、後半あと15分ぐらいで1点取りました。そのあとは、しっかり守り切らなくてはいけなかった。あそこから3点取られて負けたことで、チームの自信というか、ベースがガタガタと崩れてきて、それがずっと尾を引いたような感じはしています。チームのリズムを狂わせた、ベースを崩壊させた、そういう要因になった試合だと思います」

 チームはその後、サガン鳥栖とのルヴァンカップ初戦で3-0、リーグ3節の湘南ベルマーレ戦は3-1と"連勝"し復調したかに見えた。だが、5節・アビスパ福岡戦から3連敗を喫したほか、直近の9節・北海道コンサドーレ札幌戦は2点のリードを守り切れず、2-2のドロー決着。この時点でリーグでの成績は2勝2分4敗の勝点8で15位。不安定な戦いが続き、浮上の兆しが見えないまま、ザーゴ監督の解任が決まった。

 ディフェンスリーダーの犬飼智也も、ここまでの戦いをこう振り返る。

「開幕で上手くいかなくて、思っていたスタートが切れなかった。試合を重ねるにつれて、結果もついてこなくて、やりたいことも出来なくて、自信が少し無くなってきたのかな。チームを助ける動きとか、チャレンジとか、自分からアクションを起こすことが少なくなって、結果がついてこなかったと思う」
 
 仕切り直しを図るべく、クラブOBでもある相馬新監督にバトンは渡された。

「相馬は元々、鹿島の選手ですし、鹿島の本当のサッカーのベースはよく分かっていると思う。それを崩さないように、それに戻すというか、そのうえにいろんなものを構築していく、積み上げていくことを相馬には期待しています。相馬の良さは鹿島の良さでもあると思います」(鈴木FD)

 新体制下の初陣は17日の徳島ヴォルティス戦。犬飼は「監督が代わって、一発目のゲームはすごく大事なゲームになる」と気合いを入れる。復権に弾みがつくような勝利を掴み取りたい。

構成●サッカーダイジェストweb編集部

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