【なでしこサッカー新時代】第1回 菅澤優衣香 |不動のエースが東京オリンピックへ、そしてWEリーグ開幕へ懸ける想い (前編)

2021年04月16日 西森彰

コロナ禍では「ファンとのやり取りが心の支えだった」

先日のパナマ戦ではハットトリックを達成した菅澤(左)。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

 2021年、日本の女子サッカーは新たな時代に突入する。

 2020東京オリンピックは3か月後に迫り、この秋には女子プロサッカーリーグ『WEリーグ』が誕生する。なでしこたちはきたるべき時に備えて、コロナ禍という難しい状況のなか、ひたすら前を向き、準備を進めている。

 節目を迎えるこの時だからこそ、これからWEリーガーとなる選手たちの声に耳を傾けてみたい。彼女たちが語る、なでしこサッカーの未来とはいかなるものか。

 記念すべき第1回は、菅澤優衣香選手が登場。昨シーズンは出場試合数(16試合)を上回る17ゴールを挙げ、5年ぶりの得点王(3回目)に輝き、最優秀選手にも選ばれた。浦和レッドダイヤモンズレディース(現『三菱重工浦和レッズレディース』)の優勝を引き寄せた立役者だ。先日行なわれたなでしこジャパンの親善試合ではパナマを相手にハットトリックを達成するなど、絶好調のエースに今の気持ちを聞いた。

※取材は3月に実施
――まず、昨シーズンを振り返って。一年を通じて素晴らしいパフォーマンスに見えました。ご自身で振り返って、特に印象に残っている試合やシーンはありますか。

 試合であげるとすれば、ホームの INAC神戸レオネッサ戦(第11節、○4-1)がベストゲームかなと思います。チームとしては浦和レッズらしいサッカーができて、私自身も流れの中で点を取ることができた。 神戸という強豪チームを相手に3点取れたことと、FWとして、相手のGKと1対1の場面で、駆け引きをしながらシュートコースを見つけて、決めきることができたので、印象に残っています。今まで自分がプレーしてきた中でも上位に入るくらい、キーパーとの1対1は冷静に対処できました。

――新型コロナウイルスの脅威が吹き荒れる中で、試合に向けての姿勢も問われるシーズンだったのでは。

 気持ちをどう持っていたらいいのかという点では、大変でした。東京オリンピックが延期になり、リーグ戦の開幕も延期になって、さらに延期が続いて……本当にできるのかという不安もありましたね。いろいろなことがあったので、難しかったですが、ファン・サポーターの声が支えでした。 SNS を通じて「無事に試合ができることを願っています」とか、「応援しています」というたくさん言葉をくれたので、やってこられました。

――フィジカルコンタクトに強いイメージのある菅澤選手ですが、コンディションの維持のために、自宅ではどんなことをしていましたか?

 チームとして活動できなかった時間は、家で体幹トレーニングをメインにやっていました。時間にすれば、毎日1時間程度だったと思います。
 

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