【U-18プレミアリーグ】ジュニアユース時代からの思いが交錯した履正社×G大阪

2015年05月03日 森田将義

勝負を決めたのは三冠世代“じゃない”選手たち。

ゴールを決めたG大阪ユースの選手たちが喜びの表情を見せる。勝ったG大阪ユースは3勝1敗で2位につける。写真:森田将義

「昨年のプレミアリーグ参入決定や選手権で、選手たちの会話から履正社高校の名前がよく出ていた。そうやって人のつながりができていくのがサッカーの良さ」
 試合前、G大阪ユースの梅津博徳監督がこう話していたように、履正社にはDF安田拡斗を始め、中学時代をともに過ごしたジュニアユースのOBが多く在籍。高校に入ってからも、まめに連絡を取り合うなど良好な関係が続いている。
 
 ただし、戦いが始まれば話は別だ。
「皆、『元チームメイトとか関係ない。絶対勝つぞ』という感じが強かった」とはG大阪のFW武田太一。その言葉どおり、キックオフの笛と同時に白熱した攻防が繰り広げられた。
 
 先手を奪ったのは履正社。2分、自身のドリブル突破から得たFKをMF牧野寛太が直接決めると、14分にはMF林大地が右サイドを破って2点目をアシスト。「牧野と林はこれまでの4試合で一番良い動きを見せていた」と平野直樹監督が評したように古巣との対戦に燃えるふたりが意地を見せた。
 
 2失点を機に目が覚めたG大阪も岩本和希、市丸瑞希のボランチコンビを起点にボールを動かし、反撃の機会を窺う。ただし、この試合で主役を担ったのは、中学時代に史上初の三冠を達成したG大阪の黄金世代ではなく、"じゃない"ほうの選手たちだった。
 
 最初に魅せたのは高校からG大阪の門を叩いた武田(枚方FCマシア出身/3年)。36分に反撃の狼煙を上げる得点を挙げると、58分にもこの日2点目となるゴールを記録。最終学年を迎えた今年、ゴールに拘る男は「周りは三冠世代と呼ばれているけど、ジュニアユースじゃない俺は違う。俺も三冠世代と呼ばれるために、今年のタイトルをすべて獲るしかない」と意気込む。
 
 ふたり目の主役はジュニアユース時代、「ひとつ上は偉大すぎる先輩たち。意識していただけど、どうしても勝てなかった」という2年生MFの食野亮太郎だ。
「監督からいつも"意外性のあるプレー"について教えてもらう。自分の所でドリブルとパスで変化をつけたかった」
 
 アピールの機会を狙っていた食野は意図したとおり、左サイドから攻撃を活性化。52分と66分には自ら得点を奪い、5-3での逆転勝利に貢献した。開幕からスタメン出場を続け、黄金世代が主軸のチームで台頭しつつある彼は、「昨年はメンバー入りしても試合に出られず悔しかったので、今年は先輩を上回って中心選手になってやろうという気持ちが強い」と話す。
 
 他にも愛媛からG大阪ユースに加わったFW山中海斗が5点目をアシストするなど、黄金世代"じゃない"選手たちの活躍が、この日の勝利を手繰り寄せた。市丸やストライカーの高木彰人らが、他チームに警戒される今季、彼らの活躍が鍵となるのは間違いない。そして、初優勝を実現できれば、晴れて"黄金世代"のメンバーとして名を連ねることになるはずだ。
 
取材・文:森田将義
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