【岩本輝雄】連敗ストップの横浜FCは浮上のきっかけを掴めたか? メリハリの効いた戦略は好印象だった

2021年04月04日 岩本輝雄

それはそれでアリ。むしろ選択肢が増えた

レイソル戦は横浜FCベンチの真裏で観戦。下平監督の緻密な指示が聞こえてきたりして、試合をより一層面白く観ることができたね。写真:滝川敏之

 開幕6連敗とスタートダッシュに失敗した横浜FCが、7節のレイソル戦でようやく"今季初の勝点"を掴んだ。

 試合の結果は1-1のドロー決着。前半に田代が先制ゴールを決めて、その1点を守り抜きたかったけど、終了間際に同点弾を食らう。あと少しのところで白星を逃した。でも連敗は止めた。その点はポジティブに受け止めてもいいはずだ。

 横浜FCのストロングポイントはポゼッションで、この試合でも後ろからのビルドアップは安定していたけど、"つなぐ"だけでなく、状況を見てシンプルに縦に長いボールを入れていた。

 CBの田代と韓、アンカーの手塚のトライアングルで運びながら、詰まってきそうになったら、相手の背後を狙って、セカンドボールを拾う。しかもその長いボールも漠然と蹴っているのではなくて、狙いと意図を感じさせるものだった。

 たとえば、両サイドに張っている松尾とジャーメインのスピードを生かすとか。そのまま抜けられればOKだし、止められてもセカンドボールを拾って二次攻撃。相手の嫌がることができていたと思う。もちろん、ボールを握れそうな時は握る。そのメリハリが効いていたし、しっかりとしたコンセプトがあって、それをピッチ上で表現できていたよね。

 あとは、2列目センターの齋藤と安永のポジショニングも絶妙だったね。レイソルの中盤が前に出てこれないような位置取りでけん制する。オフ・ザ・ボールの細かい部分かもしれないけど、あれは効果的だった。このレイソル戦で今季リーグ戦初出場のCB韓も良かった。フィジカルが強いし、存在感があったよね。

 この日は、横浜FCのベンチの真裏の席を買って、そこで観ていた。下平監督の指示が聞こえたけど、相変わらず緻密だよね。ケアすべき相手への対応のちょっとした距離感とか、スペースの使い方、狙いどころとか、すぐに修正していた。他の人はどう感じるか分からないけど、個人的にはすごく興味深かった。なるほど、そういう指示なんだ、って。
 
 今季は新しい選手が多く加入してきて、開幕からの1か月ぐらいは思考錯誤していたと思う。イメージしていたものと違った状況があったのかもしれない。それを踏まえて、去年ならつないでいたシーンでも、長いボールを使ったりする場合もある。でも、それでセカンドボールを拾って押し込めれば、それはそれでアリだと思う。むしろ、選択肢が増えたとも言える。

 ひとつきっかけを掴めれば、浮上していきそうな雰囲気はある。それがこのレイソル戦での勝点1であればいいね。

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