【指揮官コラム】チェンマイFC監督 三浦泰年の『情熱地泰』|いま、「勉強」がしたくなった訳

2015年04月28日 サッカーダイジェスト編集部

英語の魅力や必要性を教えてくれる授業に出合っていたら…。

タイであっても、選手やスタッフとのコミュニケーションで英語が必要になる場面は出てくる。三浦監督もそのことを実感しているようだ。写真:佐藤明(サッカーダイジェスト写真部)

 僕が子どもの頃、日本にはまだプロサッカーが誕生する予感すらなかった。にもかかわらず、当時の僕はサッカーのことしか頭になく、まるで"プロ選手"にでもなるかのように(笑)、サッカーに明け暮れていた。
 
 その僕がこのタイに来てからというもの、「しっかり勉強しておきたかったな」とつくづく実感している。子どもの頃に、もっと勉強の魅力やその大切さに気付いていたら……。そんなふうに思うのは、やはりタイでの監督生活を通して、学生時代に勉強していた知識が役に立ちそうな場面に何度か直面しているからだ。
 
 その筆頭に挙げられるのが英語だろう。これは言うまでもなく、選手やスタッフとのコミュニケーションはもちろん、普段の生活でも知っていれば大いに役立つものだ。
 
 英語は中学の頃からもっとも苦手な教科だった。疑問に感じていたのは、「日本に住む日本人の僕がなぜ英語を話せなければいけないのか?」ということだった。しかし、今になってみればその必要性を強く感じる。いまや海外でサッカーに携わりたいという目標を持っている人なら避けては通れない言語だろうが、当時の僕にはそうした未来を予知することなどできなかった。
 
 人のせいにはできないが、僕に英語の魅力を教えてくれ、英語の必要性を感じさせてくれる授業に出合っていたなら(笑)。チームの監督である叔父さんが英語を教えてくれたが、叔父さんの英語の授業より、サッカーの方が何倍も楽しかった。残念ながら僕の英語は、今でも小学生レベルといったところだろう。
 
 それからタイで改めて気づいたのが日本語の魅力だ。前回のコラムでも紹介したけど、日本の言葉には同じ意味でもいくつもの単語や言い回しがあって、これはタイで暮らしていると、より強く感じられる。だから、学生時代に勉強していた国語をしっかり習得していればな、という想いも生まれてきた。現代文から古文、漢文まで、学生時代はまったく興味がなかったのに。
 
 最近では辞書で四字熟語を引いたりしているが、「昔の人は、こんなことを考えていたのか~」と感心するばかり。いまの自分の気持ちを言い当てた四字熟語に出合ったりすると、「この言葉を考えた人もこんな気持ちでいたんだな」と思い、「俺だけではないんだな……」と慰められたりもするのだ。

次ページ自分の心境を言い当てた四字熟語。

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