【鹿島】無失点がいまだゼロ。悪い流れを止める術は?

2015年04月26日 五十嵐創(サッカーダイジェスト)

ディテールを詰める作業が求められる。

トップ下の土居⑧は、攻撃が短調になった点に反省の言葉を述べた。 写真:徳原隆元

 鹿島の公式戦の連勝が、3で止まった。神戸を迎えたJ1・7節のホームゲーム。小川に先制されながらも柴崎のファインゴールで追いついたが、77分にGK曽ヶ端がファンブルしたところを田中に詰められて1-2で敗れた。同勝点で並ぶ神戸相手に痛い敗戦だ。
 
 試合は、どちらに転んでも不思議ではない内容だった。"誤審疑惑"も囁かれる81分の金崎のシュートが認められていれば、あるいは引き分けに持ち込めたかもしれない。ただ、鹿島が逆転できるほどチャンスを作っていたかと聞かれると、首を縦に振ることはできない。
 
 特に、リードされた後半のパフォーマンスには注文が付く。
 
「もっとミドルシュートを増やせば良かったけど、ペナルティエリアへのクロスだけの単調な攻撃になってしまった。バリエーションを出せれば良かった」(土居)
 
 ウイングバックを含む5バックの布陣で守備を固める神戸は、徹底的にスペースを消してきた。鹿島はポゼッション率こそ高かったが、敵陣深くまで侵入できずに短調なクロスを放り込むだけ。「今日に関しては自分たちのパスワークを活かしたサッカーができなかったと思う」(柴崎)と攻撃の形が見出せずに、神戸の術中にはまったのだ。
 
 持ち味とするパスワークが封じられ、苦し紛れのクロスを上背のある神戸の守備陣に撥ね返される。鹿島が追加点を奪えないのは、ある意味で当然だった。
 
 もっとも、敗因は守備面にもある。
 
「点の取られ方が良くなかった。そこが一番の敗因かなと思います」(土居)
 
「失点の仕方が簡単すぎた」(西)
 
「自分たちのミスからもあったし、もったいない試合をした」(柴崎)
 
 三人がそう振り返るように、失点の仕方があまりに不用意だった。マークを外して小川に決められた1点目もさることながら、高崎と交錯したGK曽ヶ端のファンブルから奪われた2失点目は、明らかに防げた失点だ。
 
 なぜ、高崎にコーチングの声が届かなかったのか。単純なコミュニケーションのミスではあるが、そこを突き詰めない限り、同じことを繰り返しかねない。「確かに失点という結果は残っているが、組織としてのミスではなく、大半が個人のミス」とトニーニョ・セレーゾ監督も認めているだけに、個々が自覚して修正していくしかないだろう。
 
 鹿島はACLを含む公式戦12試合を終えた段階で無失点試合が一度もなく、リーグ戦での11失点はワースト4位だ。ことさら攻撃的とは言えないチームがこれだけ失点していれば、勝てないのも当然である。
 
「(失点は)チーム全体の問題。決して守備陣だけのせいではないので、11人全員で考えるべき。1試合1試合、課題を明確にしてチームを向上させるのが大事だと思う」
 
 そう柴崎が語るように、まずは個人が与えられたタスクを整理し、守備意識を高めなければならない。誰がマークにつくのか、ポジショニングは間違っていないのか。極めて基本的なことだが、そうした勝負を分けるディテールを詰める作業が、今の鹿島には求められている。
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