ユーベやマンCが狙う万能型MFの持ち味は? 元Jリーガーの林陵平が徹底分析

2021年03月25日 ワールドサッカーダイジェスト編集部

優雅なターンからの「運ぶドリブル」に注目

マヌエル・ロカテッリ
●所属クラブ:サッスオーロ
●国籍・代表:イタリア代表
●生年月日:1998年1月8日(23歳)
●身長・体重:185cm・75kg
●推定市場価格:3500万€
写真:Alberto LINGRIA

 海外サッカーマニアとして知られる元Jリーガーの林陵平氏が、中小クラブで台頭する逸材たちを分析し、メガクラブに「推薦状」としてプレゼンテーションする『ワールドサッカーダイジェスト』誌の連載。ユベントスやマンチェスター・シティにおススメしたいのが、サッスオーロのマヌエル・ロカテッリだという。

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 ロカテッリはU-23世代に限れば今や、ヨーロッパ屈指の万能型MFだと思います。

 ミラン時代(15~18年)はいわゆる「ピルロ型のレジスタ」で、パスセンスや技術は光るものの、守備面や安定感にやや不安を抱えるタイプでした。

 ただその後、18年夏に移籍したサッスオーロで徐々に完成度を高め、とくに今シーズンの活躍は目を見張ります。デ・ゼルビ監督の攻撃的なポジショナルプレー志向のチームで完全な軸になっています。

 元から持っていた展開力、ここ数年で磨いた守備力よりも個人的に気に入っているのが、「運ぶドリブル」です。クライフ・ターンなども駆使する絶妙で優雅なターンから、そのまま縦にボールを運べるんです。

 このプレーで局面を一気に変えられるセントラルMFはすごく貴重で、どんなチームも欲しがるはずです。
 
 実際、ここ1~2年は複数のメガクラブのターゲットになっていて、今夏に向けてユベントスやマンチェスター・シティが獲得を望んでいると言われています。

 ポジショナルプレー志向のチームに打って付けのタイプですし、サッスオーロで担っている2MFの一角はもちろん、3MFではアンカーでもインサイドハーフでも機能。アンドレア・ピルロやペップ・グアルディオラが欲しがるのも頷けますね。マウリシオ・ポチェティーノ新監督の下で、4-2-3-1を新規導入したパリSGも合うかもしれません。

 ただ、個人的にはこのままセリエAで観たい。だから、一番獲得をオススメしたいのはユベントス。アドリアン・ラビオやロドリゴ・ベンタンクールに代わって中盤の軸となり、「ピルロ・サッカー」の要になっても不思議はないですね。

取材・文●白鳥大知(ワールドサッカーダイジェスト編集部)
※ワールドサッカーダイジェスト3月18日号より転載。

【プロフィール】
林陵平/186cm・80kgの大型ストライカーとして鳴らした元Jリーガー。ヴェルディ・アカデミーと明治大学を経て2009年に東京ヴェルディとプロ契約し、翌年から柏、山形、水戸、ヴェルディ、町田、群馬を渡り歩き、2020年シーズンをもって現役引退した。Jリーグ通算成績は300試合・67得点。自他ともに認める「欧州サッカーマニア」で、海外選手のゴールセレブレーションを取り入れて話題にもなった。現在は『DAZN』のハイライト動画を全て確認し、フル視聴も最低1日1試合が日課だ。ツイッター(@Ryohei_h11)では海外ネタを日々つぶやき中。21年1月には、自身初の著書『Jリーガーが海外サッカーのヤバイ話を教えます』(飛鳥新社)を出版し、東京大学ア式蹴球部の新監督にも就任した。1986年9月8日生まれ、東京都出身。
 
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