「非常に伸びしろのある選手ですし、この先も成長してもらいたいと期待している若手のひとりです」

　柏のネルシーニョ監督がそう称賛したのは、今オフに仙台から獲得したボランチの椎橋慧也だ。リーグ開幕のＣ大阪戦（●０－２）、ルヴァンカップの横浜FC戦（●０－１）、リーグ２節の湘南戦（〇２－１）と公式戦３試合連続でスタメンに抜擢した。

「新加入で新しく環境が変わったなかで、彼自身も新たな環境に適応していく過程にあると思いますが、ここまで出場した試合でも、戦術的なところをしっかり理解してやってくれています。個人のところでも状況に応じたプレーをやってくれている。本当によくやってくれていると思います」

　指揮官の誉め言葉どおり、椎橋は新天地で好パフォーマンスを披露している。鋭いボール奪取を見せるだけでなく、湘南戦では呉屋の決勝ゴールをアシスト。新シーズンになると、まず前年のメンバーを中心にスタメンを選ぶ傾向があるネルシーニョ監督の下で、見事に上々のスタートを切ったのだ。

　椎橋の加入効果はチームメイトも実感している。新加入ボランチの貢献ぶりについて語ってくれたのは、古賀太陽だ。

「ボランチとして横の動きだけではなくて、前に出ていく力がある選手だと感じています。横浜FC戦は特にそうでしたけど、シュートを打つタイミングがかなりあった。プレースタイルというか、新しい部分がひとつ加わったのかなと思います。ひとつ前に重心を置けるし、周りも上手く椎橋選手についていければ、ボール奪う位置も高くなると思うので、すごくポジティブな部分が多いと思っています」

　椎橋が争うボランチのライバルは、大谷秀和、三原雅俊、ヒシャルジソン、ドッジ（新加入だがコロナ禍の影響で合流が遅れている）、戸嶋祥郎（負傷離脱中）と全員がレギュラークラス。かなりの激戦区だが、「前に出ていく力」をアピールし続ければ、この先も貴重な戦力になり得るだろう。

　果たして、このまま競争激しい柏のボランチでスタメンを死守できるか。まずは次節の名古屋戦、椎橋のパフォーマンスに注目したい。

取材・文●志水麗鑑（サッカーダイジェスト編集部）