【相模原】昇格組が生き残るための最善策。キーワードは「共有」と「精度」

2021年03月01日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

手数をかけずに「やり切る」ことが需要だ

我慢強く守りながら、いかに少ないチャンスをモノにできるか。鋭いカウンターを繰り出すうえで、良質なパスを出せる藤本(4番)の存在は貴重だ。写真:田中研治

 J2初参戦のSC相模原は、開幕戦で京都サンガF.C.と対戦。優勝候補にも挙げられる難敵を相手に0-2で敗れ、勝点を得られなかった。

 最初の失点は82分。CKからヨルディ・バイスにヘディングシュートを決められた。その3分後には三沢直人のミドルでゴールを割られた。

 守勢に回る時間帯が長く、とりわけ後半は防戦一方だった。どれだけ押し込まれても一人ひとりが球際で激しく戦うなど粘り強く守っていたが、個の力でねじ伏せられた格好だ。

 下馬評通りの結果と言えば、そうかもしれない。ただ、敵将に「苦しい試合だった」と言わしめるだけの守備力は見せられたし、長身FW平松宗を起点としたシンプルかつ効率的な速攻も可能性を感じさせた。

 一方で、課題として目についたのが、せっかく奪ったボールを簡単に相手に渡してしまうシーンが少なくなかったことだ。常に相手ボールの状態でリアクションを強いられ続ければ、体力はすり減り、集中力が途切れ、相手につけ入る隙を与えてしまうかもしれない。

 自分たちのペースでゲームを進めるためにも、いかにボールを握り、パスをつないで、攻撃を組み立てられるか。

「たしかに、それは課題」と藤本淳吾は言う。ポゼッションの質が高まれば「流れを引き込んだり、相手を走らせたり、隙を作ったり、空いているところを作ったり」ができる。駆け引きに優れる技巧派レフティの得意とするプレーだ。だが、自らの理想はひとまず脇に置いて、相手ゴールへのアプローチは手数をかけずに「やり切る」ことに藤本は注力する構えだ。

 キーワードはふたつ。「共有」と「精度」。

 まずはカウンターを仕掛けるタイミングと圧力。

「みんなで『あ、ここチャンスだ』って感じられるかどうか。全部が全部、行くわけではないにしろ、ここだというところで、パワーを使って、リスクを冒して、上がっていく。自分も含めて、みんなでそれを感じて、共有できるか」

 そして敵陣に入れば、必ずシュートまで持ち込めるようにする。

「一つひとつのプレー精度、パスやクロスの質、カウンターの強度。そういった部分を高めていければ」
 昇格組の相模原にとって、しばらくは京都戦のように押し込まれる展開のゲームは覚悟しなければならないだろう。そのなかで勝点を稼ぐための現時点での最善策が、「共有」と「精度」が肝となるカウンターで「やり切る」ことだ。

 京都戦では、まだまだその回数も迫力も物足りず、少ないチャンスをモノにできなかった。それでも、良い形がなかったわけではない。次節以降は、鋭いカウンターでゴールを仕留めたい。

取材・文●広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)

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