観ていて楽しい鳥栖のエースから目が離せない。PKのキッカーを務めた理由は…

2021年02月28日 古沢侑大(サッカーダイジェスト編集部)

PKをゴールど真ん中に蹴り込む

昨季はリーグ9得点でチーム内得点王になった林。今季はどこまで積み上げられるか。写真:塚本凜平(サッカーダイジェスト写真部)

 サガン鳥栖の今季初ゴールを決め、チームを勝利に導いたのは林大地だ。
 
 0-0で迎えた74分。右サイドを駆け上がった飯野七聖が樋口雄太からのパスをトラップしたと同時にギアを上げる。その瞬間にペナルティエリア内で飯野の足に相手の足が交錯。一度はプレーが続けられたものの、VARの介入の結果、PK判定が下された。
 
 相手GKの負傷もあって、プレーが途切れてPK判定が下されるまでに約5分間の中断。その間、常にペナルティスポットにいたのが、他でもない林だった。
 
「試合前に(金)明輝監督に『VARが導入されてPKの機会が増えるから、PKになったらお前が蹴れ』と言われて。覚悟はしていました」
 
 セットしてから蹴るまではGKをほとんど見ずに、視線の先にはボールのみ。この時点ですでにどこに蹴り込むかを決めていたのだろう。GKが林から見て右に飛んだのに対し、ボールはネットど真ん中に吸い込まれた。ゴール後には今や恒例となった"雄叫び"でチームメイトと喜びを分かち合った。
 
 自信を持って蹴っていたように映ったが、昨季は2本中1本を21節の浦和戦で外している。そのゲームは終盤に1点を奪われてチームは敗戦。試合終了後、林は目を赤く腫らしていた。
 
 そこから約4か月。今度は自らのゴールでチームを勝利に導いた。対戦相手は違えど、シーズンを跨いでリベンジに成功したのだ。
 
 粗削りながらも強引にゴールを目指すプレーと得点後の感情を爆発させる雄叫びで、ファン・サポーターから絶大な人気を誇る。一挙手一投足が観ていて楽しいプレーヤーである。
 
 ど真ん中に蹴り込む強心臓ぶりを発揮した鳥栖のエースの目標は「15点」。十分に達成可能だと、そんな期待をせずにはいられない。

取材・文●古沢侑大(サッカーダイジェスト編集部)
 
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