【浦和】ズラタン、武藤の新加入組アタッカーに待望の“当たり”

2015年04月19日 河野 正

移籍組6人のうち4人がアタッカー。ついに噛み合い出しゴールラッシュの予感!

2試合連続でゴールに絡んだズラタン。なにより浦和の連動性のなかで、その個の力が活きてきたのは大きい。 (C)小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

 今季の浦和は9年ぶりのJリーグ優勝と8年ぶりのACL(アジア・チャンピオンズリーグ)制覇に向けて、11人もの新戦力を獲得した。内訳は移籍組が6人、レンタル移籍からの復帰組が3人、浦和ユースからの昇格組がふたり。特徴は移籍組6人のうち4人がFW登録であること。しかもその4人全員がすでにリーグ戦、ACLともに出場している。
 
 その起用法からもペトロヴィッチ監督の期待は感じられ、実際、前所属クラブで主力を務めてきた実力者揃いである。しかし、なかなかゴールという結果を出せずにいた。
  
 浦和はリーグ戦の首位に立ちながら、4節までのFWのゴールは、開幕・湘南戦での興梠の1点のみだった。その他は、那須、阿部、宇賀神。ACLも森脇と槙野。ボランチ、ウイングバック、ストッパーの選手が挙げたもので、アタッカー陣の奮起が待たれていた。
 
 そんな折、リハビリ中の興梠、右膝靭帯を損傷した石原の離脱もあり、5節の川崎戦でズラタンがCFとして先発。すると大宮から加入した大型ストライカーは期待に応え、89分、1-1に追い付く起死回生の一撃を叩き込んだ。移籍後初ゴールが、大事な場面で飛び出したのだ。
 
「なかなか得点できなくてプレッシャーを感じていた。これで少しは気持ちも楽になるよ」
 
 そう笑顔を振りまいたスロべニア代表FWは、確かにその後、殻をひとつ打ち破ったように一段と大きな存在感を放つようになった。
 
 6節のホームでの横浜戦、ズラタンに続くように、新加入アタッカーの武藤が強烈な閃光を放つ。シャドーとして1節・湘南戦以来の先発を果たすと、0-1とリードを許した42分、宇賀神の左クロスを右足でミート。シュートはポストを叩いたが、跳ね返ってきたこぼれ球を自ら左足で押し込み、待望の移籍後初ゴールを決めた。
 
「今までポストに二度も弾かれてきたけど、今日は良いところに跳ね返ってきてくれた(笑)。埼玉スタジアムで得点することが夢だったので嬉しい」
 
 武藤も安堵の笑みを浮かべた。ACL3節の北京国安戦で際どい一撃がポストに嫌われることなどがあったが、"3発目の正直"が実り意気揚々としていた。
 
 この日、チーム最多3本のシュートを放ったズラタンは、2試合連続ゴールはならなかった。しかし彼の強烈なシュートから(GK榎本に弾かれた)、前半ロスタイムの梅崎の決勝ゴールは生まれた。
 
 横浜戦の前線3枚を務めたズラタン、武藤、梅崎というのは、今季初の組み合わせだった。それでも連係はしっくり噛み合い、なにより3人が決定的なシュートを放ち、得点に絡んだ点は特筆すべき点だろう。
 
 とりわけ武藤は、ゴールに向かう強欲さ、ペナルティエリアに入ってからの積極的な仕掛け、パスの引き出し方と出し方、規律を遵守した守備の意識と、すべてのレベルが試合を重ねるごとに上がっている。まさに浦和に新しい力を注入していると言える。
 
 ズラタンも屈強なフィジカルを活かしたキープ力と制空権でチャンスメイクする回数が増えており、いずれゴールを重ねていきそうな予感を漂わす。
 
 昨季チーム最多12ゴールを挙げた興梠の戦列復帰も間近である。チーム状態が決して万全とは言えないなか、開幕から6試合で4勝2分と無敗のまま首位を走る。気付けば第1ステージはすでに3分の1を消化したなか、懸案だった攻撃陣の連係がよりスムーズに噛み合い出してきたのだ。
 
 今週は21日に決勝トーナメント進出へ白星が必須なACLの5節・水原三星戦、25日には埼スタが赤色に染まるリーグ7節・名古屋戦と、ホームでの連戦が続く。
 
 これまでのようにチームとして成長しながら、白星も重ねていけるか? 勢いに乗った浦和の快進撃から目が離せなくなってきた。
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