【G大阪】4戦連発を呼び込んだ“ストライカー”宇佐美の新境地

2015年04月19日 サッカーダイジェスト編集部

映像で世界のストライカーを研究し、抜け目ない動きを実践。

こぼれ球に反応してワンタッチで押し込んだ宇佐美。今季から試行錯誤している形で先制点を決めてみせた。写真:田中研治

 宇佐美の勢いが止まらない。湘南戦の26分。右サイドから遠藤が送ったクロスを丹羽が競り勝って折り返し、米倉がシュート。GKの弾いたこぼれ球が、ふわりと宇佐美の目の前に。頭で押し込むと、最後は身体ごとゴールになだれ込んだ。

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「狙っていました。押し込むだけでしたけど、あれも動き直しがあったから。岡ちゃん(岡崎慎司)っぽいと言うか、今まで僕にはなかったような動きの質だった。すごく手応えのあるゴールです」
 
 日本代表FWの岡崎のような泥臭い「ごっつぁんゴール」で、得点ランキングトップをひた走る今季7点目を決めた。
 
 一見すればこぼれ球を決めただけの簡単なゴールに、本人が手応えを感じたのは理由があった。今季の目標に「得点王」を掲げているが、ドリブルからのミドルシュートなどの得意な形からの得点だけでは到達できないことを自覚。ゴール数を飛躍的に伸ばすために、こぼれ球に反応してワンタッチで押し込む形を増やそうと試行錯誤してきた。
 
 そのヒントになったのが、開幕前のキャンプ中に長谷川監督と和田コーチから渡された、世界のストライカーがいかにしてワンタッチゴールを奪うかが編集された映像だった。エディンソン・カバーニ(パリ・サンジェルマン)、エディン・ゼコ、セルヒオ・アグエロ(ともにマンチェスター・シティ)らが、ボールに絡まないところで何度も動き直し、ポジションを修正してゴールを狙う動きを目に焼き付けた。
 
「今までは(自分が)ボールを蹴ることができる動き出しをしようとしていたけど、今は蹴れなくても動き出そうとしている。いかに良いところにいるかを考えた」。
 
 そう語ったように、得点の過程でボールが遠藤、丹羽、米倉と渡る間、自身がボールに触れる可能性は低かった。今までならボールが入らない時間はスイッチがオフとなり、突っ立っていることも多かった。
 
 しかし、このシーンではこぼれ球を予測し、ゴール前で最もボールが落ちてきそうな場所で、ゴールに向けた身体の向き、ポジションを取っていた。世界トップクラスのFWの動きを映像で研究した結果、ストライカーらしい抜け目ない動きが身についてきたのだ。
 
 4試合連続得点でチームの3連勝と2位浮上に貢献。自身も「(プレーが)変わってきていると思うし、幅広いプレーができている」と確かな手応えを感じ取っている。
 
 ハリルホジッチ日本代表監督からは14.1パーセントという体脂肪率の高さを指摘されるなど、まだまだ課題もある。しかし前節の清水戦では80分という試合終盤に決勝点を決めてスタミナ面での改善傾向も見せている。ひとつずつ課題と向き合っている22歳は、さらにスケールの大きな選手へと変貌を遂げようとしている。
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