【名古屋】トヨタの豊田章男社長が新会長に就任。大型補強の可能性は?

2015年04月17日 今井雄一朗

久米新社長は、強化部門において全権委任の立場に。

握手を交わす豊田新会長(左)と久米新社長(右)。世界的企業のトップと名古屋のGMとして辣腕を振るってきた重鎮のタッグにより、名古屋はどう生まれ変わるか。写真:Y.IMAI

 4月16日、株式会社名古屋グランパスエイトの取締役会が行なわれ、かねてより報道されていた久米一正GMの代表取締役社長昇任と豊田章男トヨタ自動車社長の代表取締役会長就任が承認された。
 
 会見の冒頭で久米新社長は次のように挨拶した。
「本当に私でいいんだろうかと悩みました。グランパスの社長は初代が豊田章一郎現トヨタ自動車名誉会長を始め、日本経済のリーダーたる方々ばかりです。サッカー畑の私に本当に務まるのだろうかと考えましたが、そんな自分だからこそできるなにかを求められているのかな、と感じました」
 
 さらに続けて、
「このチームが観客をワクワクドキドキさせるために、どういうことができるのかをしっかり考えてトヨタに提案しないかぎり補強も上手くいかない。ここは私の腕の見せどころ」
と、GM時代以上の辣腕を振るうことを宣言した。
 
 今回の人事について、佐々木副会長は「『愛されたいクラブ宣言』を受け、創立時の志をもう一度思い出しまして、さらに進化させた形でのクラブ運営を考えたと理解していただきたい」としたうえで、「豊田新会長にはスポーツを通じて社会に貢献するシンボルとしてチームを代表して頂きます。久米新社長には頭の中でチーム強化への補強バランスを取ってほしい」と、強化部門において実質的に全権を握る立場になることを明らかにした。
 
 現職のトヨタ自動車社長の会長就任とあって、報道陣からは「ビッグネームの獲得などは?」との質問も飛んだが、豊田新会長は「トヨタというとすぐお金と思われます(笑)。でも、私、財布じゃないんですよね」とやんわり牽制。
 
 続いて佐々木副会長が「今、クラブの総予算は世界的に見ると非常に脆弱です。しかし良い選手が獲れれば成績が上がる、成績が上がればまた良い選手が獲れる、こういう循環が始まる年だと思っております」と補足した。
 
 今後の補強策や支援体制などについての明言は避けたが、豊田新会長は「(これまで勇気づけてくれた)グランパスに対して、なにかしらの恩返しができるのであれば、そして私自身に元気を与えてくれたこの"スポーツ"に、恩返しができるのであれば、努力をすべきではないかと思います」と語るなど、熱意は本物だ。世界的企業のトップの会長就任とクラブ史上初の常勤社長の誕生は、佐々木副会長の言葉どおり、好循環の始まりを告げるに十分なインパクトを内外に与えそうだ。

取材・文●今井雄一朗(スポーツライター)
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