主力復帰のバイエルンと出場停止者続出のポルト…第2レグは?
1)カレスマが極上の輝きを放つ
アウトサイダーのポルトが、優勝候補の筆頭と目されたバイエルンを破るアップセットを演じたこの一戦で、極上の輝きを放ったのはカレスマだ。
開始早々に訪れたPKのビッグチャンスを冷静にモノにすると、10分にはダンチのトラップが乱れた隙を突く。猛烈なフォアチェックでボールを奪い去り、最後はノイアーとの1対1をしたたかに制して、チームに貴重な2点目をもたらしたのだ。
この2ゴールだけではない。右サイドでボールを持てば、高度なボールスキルを披露。高い位置で複数の守備者に囲まれても、容易にはボールを失わず、バイエルンのプレスを空回りさせる存在となっていた。
右サイドで対峙したベルナトの攻め上がりに対するケアもこなすなど、守備時も精力的だったウインガーのマン・オン・ザ・マッチ選出に異論の余地はないだろう。
2)"受け"に回らなかったポルト
そのカレスマに勝るとも劣らない功労者は、ロペテギ監督を置いてほかにいない。ポルトのダ・コスタ会長が「新たなモウリーニョ」と絶賛するスペイン人指揮官が示したのは、新しい"バイエルン攻略法"であり、彼の緻密な戦術は90分間を通してハイレベルに機能し続けた。
王者レアル・マドリーやプレミア覇者のマンチェスター・Cを含め、バイエルンと戦うチームのほとんどは、受けに回ってカウンターのチャンスを窺う。しかし、ポルトは受けに回らなかった。
守備時は4-2-4のようなシステムを敷き、前線の4枚が攻撃的なハイラインプレスを敢行。最終ラインから丹念にボールを繋ごうとするバイエルンの出端を挫き、テンポ良くパスを回させなかったのだ。
1~2点目に繋がったシーンはともに単独でのフォアチェックがハマった格好で、前に出ようとする勇敢な姿勢が好結果に繋がったのは間違いない。
一方で、相手が苦し紛れに放ったロングボールに対しては、競り合いに強いマイコンとマルティンス・インディの両CB、アンカーのカゼミーロがしっかりと対応。CKの流れから失点した28分の場面を除けば、決定的なピンチを迎える場面が皆無だった通り、この日のポルトが見せた守りは素晴らしかった。
3)敗れるべくして敗れたバイエルン
完敗を喫したバイエルンにとって痛かったのは、いずれも怪我で欠場したロッベンとリベリの不在。華麗なパスワークなど組織的な組み立てや崩しが機能しなくても、個の力で違いを作り出せる両雄が前線に君臨していれば、ポルトの重心は少なからず下がっていたはずだ。
それでも、バイエルンが敗れるべくして敗れた事実は揺らがない。
球際の競り合いやセカンドボールの対応で後れを取れば、守備の要であるボアテングがロングボールの目測を誤り、65分の3失点目を招くなど個々のミスが頻発。そのCBを74分から中盤に組み込んだ指揮官の不可解な采配を含め、ポルトの軍門に下るには十分すぎる理由が揃っていた。
4)逆転突破への切り札は…
ホームで迎えるリターンマッチ(4月22日)に向け、バイエルンの好材料はインフルエンザで欠場したシュバインシュタイガーの復帰に目途が立っていることだ。
価値あるアウェーゴールを叩き込んだとはいえ、不用意なボールロストやパスミスが目立ったチアゴか、球際での弱さを見せたラームに代わり、この副将がスタメンに名を連ねる可能性は低くない。怪我が癒えたリベリとともに、逆転突破への切り札となりうる。
一方、優勝した03-04シーズン以来となるベスト4進出に王手をかけたポルトは、第1レグで豊富な運動量を見せ、攻守で利いていた両SB(ダニーロとA・サンドロ)の累積警告による出場停止が痛すぎる。
その穴埋めとして難攻不落のアリアンツ・アレーナでいかなる采配を振るうか、"新たなモウリーニョ"ことロペテギ監督の手腕に注目だ。
文:遠藤孝輔
アウトサイダーのポルトが、優勝候補の筆頭と目されたバイエルンを破るアップセットを演じたこの一戦で、極上の輝きを放ったのはカレスマだ。
開始早々に訪れたPKのビッグチャンスを冷静にモノにすると、10分にはダンチのトラップが乱れた隙を突く。猛烈なフォアチェックでボールを奪い去り、最後はノイアーとの1対1をしたたかに制して、チームに貴重な2点目をもたらしたのだ。
この2ゴールだけではない。右サイドでボールを持てば、高度なボールスキルを披露。高い位置で複数の守備者に囲まれても、容易にはボールを失わず、バイエルンのプレスを空回りさせる存在となっていた。
右サイドで対峙したベルナトの攻め上がりに対するケアもこなすなど、守備時も精力的だったウインガーのマン・オン・ザ・マッチ選出に異論の余地はないだろう。
2)"受け"に回らなかったポルト
そのカレスマに勝るとも劣らない功労者は、ロペテギ監督を置いてほかにいない。ポルトのダ・コスタ会長が「新たなモウリーニョ」と絶賛するスペイン人指揮官が示したのは、新しい"バイエルン攻略法"であり、彼の緻密な戦術は90分間を通してハイレベルに機能し続けた。
王者レアル・マドリーやプレミア覇者のマンチェスター・Cを含め、バイエルンと戦うチームのほとんどは、受けに回ってカウンターのチャンスを窺う。しかし、ポルトは受けに回らなかった。
守備時は4-2-4のようなシステムを敷き、前線の4枚が攻撃的なハイラインプレスを敢行。最終ラインから丹念にボールを繋ごうとするバイエルンの出端を挫き、テンポ良くパスを回させなかったのだ。
1~2点目に繋がったシーンはともに単独でのフォアチェックがハマった格好で、前に出ようとする勇敢な姿勢が好結果に繋がったのは間違いない。
一方で、相手が苦し紛れに放ったロングボールに対しては、競り合いに強いマイコンとマルティンス・インディの両CB、アンカーのカゼミーロがしっかりと対応。CKの流れから失点した28分の場面を除けば、決定的なピンチを迎える場面が皆無だった通り、この日のポルトが見せた守りは素晴らしかった。
3)敗れるべくして敗れたバイエルン
完敗を喫したバイエルンにとって痛かったのは、いずれも怪我で欠場したロッベンとリベリの不在。華麗なパスワークなど組織的な組み立てや崩しが機能しなくても、個の力で違いを作り出せる両雄が前線に君臨していれば、ポルトの重心は少なからず下がっていたはずだ。
それでも、バイエルンが敗れるべくして敗れた事実は揺らがない。
球際の競り合いやセカンドボールの対応で後れを取れば、守備の要であるボアテングがロングボールの目測を誤り、65分の3失点目を招くなど個々のミスが頻発。そのCBを74分から中盤に組み込んだ指揮官の不可解な采配を含め、ポルトの軍門に下るには十分すぎる理由が揃っていた。
4)逆転突破への切り札は…
ホームで迎えるリターンマッチ(4月22日)に向け、バイエルンの好材料はインフルエンザで欠場したシュバインシュタイガーの復帰に目途が立っていることだ。
価値あるアウェーゴールを叩き込んだとはいえ、不用意なボールロストやパスミスが目立ったチアゴか、球際での弱さを見せたラームに代わり、この副将がスタメンに名を連ねる可能性は低くない。怪我が癒えたリベリとともに、逆転突破への切り札となりうる。
一方、優勝した03-04シーズン以来となるベスト4進出に王手をかけたポルトは、第1レグで豊富な運動量を見せ、攻守で利いていた両SB(ダニーロとA・サンドロ)の累積警告による出場停止が痛すぎる。
その穴埋めとして難攻不落のアリアンツ・アレーナでいかなる采配を振るうか、"新たなモウリーニョ"ことロペテギ監督の手腕に注目だ。
文:遠藤孝輔