「いきなり活躍するのは至難の業」 先輩・吉田麻也が語るプレミアリーグ

2015年04月13日 松澤浩三

「オランダでの経験は大きかった」

現在、プレミアリーグでプレーしている日本人選手は吉田が唯一。武藤から相談を受けたという。 (C) Getty Images

 現在、プレミアリーグでプレーしている日本人選手は、サウサンプトンの吉田麻也ただひとりである。
 
 プレミアという世界最高峰の舞台で奮闘する吉田は、武藤嘉紀がチェルシーからオファーを受けたというニュースをどう捕らえ、日本代表の後進の移籍についてどう考えているのか。
 
 4月11日のハル戦。4試合ぶりに先発フル出場を果たしてチームの勝利に貢献した吉田を、日本の取材陣が囲んだ。
 
「(武藤本人と)もちろん話はしたが、何を話したかは武藤の許可なくメディアには話せません。それは(チェルシーの監督)モウリーニョか本人に聞いてください」
 
 相談は受けたというが、その内容については打ち明けてはくれなかった。それでも、個人的な意見と前置きしたうえで、プレミアでプレーすることについて、海外移籍について、話してくれた。
 
「ここは本当にみんな欧州で活躍した選手が集まってくる。いきなり来てバンと活躍するのは至難の業」
 
 そんなプレミアのなかでも、チェルシーはハイレベルなトップスターを揃える屈指の強豪だ。簡単なチャレンジではない。
 
「(チェルシーの凄さについては)言わなくても(武藤自身も)分かっているはず。いろいろ話したが、やはり一番は、周りが騒がしくなっても試合は続いていくということ。注目されるなかで、結果を出さなくてはならない。怪我だけには気をつけてと、そう伝えた。後はなるようになるはず」
 
 吉田はプレミアに参戦する前に、オランダのVVVでプレーしている。その経験は大きかったと認める一方で、「他の選手はどうか分からない」とも言う。
 
「僕にはそれしか選択肢がなかった。環境、食事、気候などサッカー以外の側面に関して、オランダはみんな英語も話すし、(欧州挑戦の)最初のステップとして(オランダに行って)よかったと思う。もちろん、しんどい時もあったけど、いきなりイングランドに来るよりもよかった。でも、それが武藤に当てはまるわけではない。それは選手個人の決断」
 
 移籍するタイミングについてはどうだろう?
 
「Jリーグで、今日は調子が悪いな、コンディションが悪いなと思っていても、なんとなく勝ててしまう。普通にプレーしていても、点が取れてしまう。そんなレベルになったら、次のステップを踏む時期かもしれない。
 
 僕の場合は、ただがむしゃらに出で行きたかった(笑)。でも今、客観的にいろんな選手を見たり、自分の経験を踏まえて、そう思う。Jリーグで6~7割の力でもやれてしまうような選手は、海外志向があるのなら、チャレンジすべきタイミングだと思う」
 
 武藤は、プレミアでの数少ない、いや唯一の成功例とも言える吉田の話をどう受け止め、どんな決断を下すのだろうか。
 
取材・文:松澤浩三
 
 
 
 
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