【強豪校レポート】市立船橋|勝負をしながら育てる“市船”流でプレミア上位を狙う

2015年04月10日 平野貴也

朝岡監督「育成のために勝負を少し捨てるという戦い方はしない」

市立船橋の練習風景のひとコマ。プレミアリーグの開幕直前にはフランス遠征も行なって強化を図っている。写真:菅原達郎(サッカーダイジェスト写真部)

 4月11日に開幕する高円宮杯U-18プレミアリーグでも、今季は注目チームのひとつに推される市立船橋。しかし、その強豪校も昨季はインターハイで全国大会に出場したものの、まさかの1回戦敗退を喫し、選手権では宿敵・流経大柏に予選決勝で敗れた。昨季の悔しさを糧に、巻き返しを誓う市立船橋の現状と注目のポイントを、指揮官のショートインタビューと今季のキーマンから紐解く。
 
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■朝岡隆蔵監督インタビュー
 
――監督に就任されて5年目となります。これまでにインターハイ、高校選手権で優勝し、石田雅俊、磐瀬剛(ともに京都)、志村滉(磐田)といったプロ選手も育ててきました。チームの強化と育成のバランスは、どのように考えていますか。
 
「勝負をしながら育てていくしかありません。育成のために勝負を少し捨てるとか、負けても仕方がないという戦い方はしていません。両立できるギリギリの境界線を探りながら、選手や布陣のテストもしていきます。昨季は、それでも合計30人近くがプレミアリーグに出場したと思います。選手が公式戦を通じて力をつけていければ良いと考えています。
 
 チームとしては、選手層の部分に課題を感じているので、今季は20人近い選手をトップチームの戦力として育てたい考えです。特に12番目から22番目の選手の強化です。昨季の選手権予選では、永藤歩(3年)が怪我をしたら攻撃力が明白に落ちました。チームのベストなバランスを探すなかで、オプションとなる変化やカードも見つけていきたいです。
 
 これまで、3年生でレギュラーになるのは、2年生でトップチームに入っていた選手ばかりでした。2年生の時はBチームだったけど、3年生になったらレギュラーに成長したという例が少な過ぎると感じていました。もっとチーム内の競争が激しくならないと、ベストメンバーでのクオリティは上げられても、チームの総合力が上がりません」
 
――今季のチームは、昨季の主力が多く残っていますし、2月までの段階で同年代には負けなしと好調ですね。どんなチームになりそうですか。
 
「まだ相手も仕上がっていませんから、成績は参考になりません。昨季は選手の特徴を活かしたサッカーをベースにしていましたが、今季は私が持っている(バリエーション豊富な攻撃という)コンセプトも付け加えたいと思っています。確かに、昨季出場していた選手が複数いますが、まだ選手が個性を活かし合えるバランスを探っている段階です。
 
 スピードのある永藤をワイドで使うのか、トップで使うのか。現在は1トップでも起用している高宇洋(2年)はポジショニングが良く、攻撃的なポジションならどこでもこなせるので、どこに配置するのかと考えながら進めています。
 
 ただ昨季は1ボランチに限界を感じたので、今は2ボランチでやっています。うちの(速攻をベースにパスワークを活かす)スタイルを考えると、2ボランチの方が安定する印象です。その分、最終ラインは3人にしたり、4人にしたりと試すつもりです」
 
――今季の目標と意気込みを聞かせてください。
 
「昨季は、プレミアリーグに初めて参加したので、まずは残留が目標でした。でも、今季はもうひとつ目線を上げて、上位争いを目標にします。カップ戦についてですが、インターハイは中間目標なので、その時の力をそのまま発揮してどこまで行けるかを見てみたいと思っています。ただ、成績で言えば全国大会には出場したいですね。選手権に関しては、高校のチームにとっては頂点を目指して戦うことが当たり前の舞台ですから、言うまでもありません。勝ちに行きます」

次ページ昨季のリベンジに燃える市船のキーマン。

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