【大分|新体制】主力流出も「リクエストした選手がほぼ獲れた」。新加入12人「勝負の年」に目指すは9位以内

2021年01月17日 柚野真也

「主力の流出は想定外だったが…」

1月8日に大分が新体制発表記者会を実施。左下からポープ、長沢、片野坂監督、榎社長、西山G M、上村コーチ、下田。左上から西川、井上、上夷、坂、福森、渡邉、黒崎、藤本、弓場。Ⓒ OITA F.C.

 大分トリニータは1月8日、新体制発表記者会見を行なった。新チームは新加入選手12人を含む29人でスタート。コロナ禍で大変な時期だからこそチーム、クラブ、サポーターとともに困難を乗り越えていくという思いを込めた「一致団結」をスローガンに、一桁順位となる9位以内を目指す。

 6年目の指揮を執る片野坂知宏監督は、「昨季の目標6位を達成できなかったが、今季は足りない部分である精度を上げたい。昨季のメンバーから大きく変わるが新たな選手を加えてピッチで躍動し、アグレッシブに最後まで戦う姿勢を見せたい」と誓った。

 今オフは昨季のチーム得点王の田中達也、主力であった鈴木義宜、岩田智輝らが移籍。そのなかで取り組むスタイルが明確な指揮官のもと、補強すべき人材も明確だった。仙台で昨季9得点の長沢駿、王者川崎から下田北斗、湘南からCB坂圭祐を獲得しセンターラインを補強。昨季まで同様に"専売特許"である下部カテゴリーで実績を残した福森健太、黒﨑隼人ら若い選手も招き入れた。

 さらに今季加入は全て完全移籍にこだわり補強を進めたのは、将来を見据えたチーム作りをしっかりと進めるためだ。片野坂監督は、「主力の流出は想定外だったが、抜けた部分はクラブと話し合い、私がリクエストした選手がほぼ獲れた。戦力レベルを上げることができた」と手応えを感じている。
 
 クラブは中長期的な目標としてJ1中位を掲げているが、今季を無視するわけではない。主力が抜け、大幅にメンバーが入れ替わるが、新戦力は長沢を筆頭に特徴を持った選手たち。昨季までサイドの崩し、クロスの多いチームにとって待望の大型ストライカーは相乗効果を生み出すことは明らかで、攻撃陣はむしろ数段、強力になったと言える。

「前線に高さが加わることで攻撃のバリエーション、オプションが増える。新しい選手には大分のスタイルを浸透させ、そのなかでスピードと質を求めたい。3-4-3にこだわらず、戦い方によってメンバーを組み合わせ、勝負の年としたい」とは片野坂監督。

 既存選手と新加入選手を融合させ、シーズンの早い段階で選手の個性を生かすシステム、戦術を確立させられるか。指揮官には絶妙な舵取りが求められる。

取材・文●柚野真也(フリーライター)

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