3年連続の決勝進出はとてつもない偉業であることは間違いない
山梨学院(青)と青森山田(緑)の決勝戦は、PK戦にもつれ込む熱戦となった。写真:徳原隆元
まだまだコロナ禍が続く2021年の今年、最初のコラムになる。
明けましておめでとうございます。
サッカー界は元旦、天皇杯決勝からスタートし、川崎フロンターレが1-0の最小スコアでこそあるが、力の差を見せつけて優勝した。
日本のJリーグのスタンダードはこれだ! と言わんばかりのクラブ力、絶妙なチームバランスを披露し、ガンバに対して今年も2020年シーズンからの良い継続を見せそうな一方的な試合であった。
同時に全国高校サッカー選手権、延期になっていたルヴァンカップの決勝戦も行なわれた。全国高校サッカー選手権は山梨学院が、ルヴァンカップはFC東京がそれぞれ優勝した。
そして、1月11日11時11分に弟のカズが横浜FCと契約が発表され、今年の2月26日に54歳になり、カズの身体「サッカー選手としての身体」が見れるのは嬉しい限りだ。
昨シーズンを考えると「試合に出たい」という気持ちは、より大きくなっているのでは……。何歳になっても衰えないモチベーションとサッカーへ対しての誠実な姿勢。今年は1分でも長くカズのプレーが見たい。
話は変わり、「高校サッカー」も久しぶりにテレビで観戦した。フルで見た試合は少ないが、決勝戦はPK戦まで見させてもらった。
1年前は我が母校である静岡学園が青森山田を倒し日本一に……。1年後のその舞台に母校の姿はなく、青森山田はその悔しさを晴らすためにピッチに立っていた。
これは黒田監督と選手たちの1年間を通しての努力の結晶であり、選手権決勝の舞台を3年連続で踏むとは、とてつもない偉業であることは間違いない。本当に考えられない凄いことだ。
そうした一つの目標へ邁進する姿勢こそが高校サッカーの精神であり、日本の育成を支えて来た肝なのだと思う。それを否定する人間がいたとしたら、それはきっと違う話をしているのであろう。
だからと言って、目に映ったサッカーが素晴らしいサッカーだったのかどうか、という話はまた別物だ。
物議を醸したロングスローや、リスクを冒さない前線へのロングフィード、それらのセカンドボールを拾って、または守備のミスを突いて攻める。サイドを崩してクロスを入れても、中は運で合うか合わないか……。
もちろん戦術には様々な考え方があるが、奪ったボールを相手に簡単に取られない、それだけではなく触らせない。相手をかわす、抜くといった1対1の局面での個人の力、最後まで崩し切ってフィニッシュまで持っていくグループでの工夫……、そういった面で見るべきものはあまりなかった。
この辺は要求するレベルの違いかもしれないが、世界を目指す日本のサッカー界における課題なんだろう。
高校サッカーという勝利優先主義になりがちな環境は勝った者が賞賛される傾向にあり、勝ち続けていたチームが負けた瞬間、可笑しなことを言い出す人たちが現われる。そんな環境がじっくりと選手を育成できないことに繋がっているのかもしれない。だが、そんなことは世界でも往々にしてあることだ。
母校はあのピッチどころか、全国に出場もできなかった。ただそれでも、じっくり静岡学園のサッカーを温めているのであれば、決して常勝軍団でなくても良いと、僕は思っている。
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