マドリーとバルサが推し進める“危険”な「スーパーリーグ構想」。2強以外がどうなろうと構わないと言わんばかりの…【現地発】

2021年01月15日 サッカーダイジェストWeb編集部

心配なのは蚊帳の外に置かれるその他の99%のクラブ

スーパーリーグ構想について言及したペレス会長。(C)Getty Images

 レアル・マドリーのフロレンティーノ・ペレス会長がオンラインで開催されたソシオの年次総会でスーパーリーグ創設に向けての動きが水面下で進んでいることを示唆した。

 現時点でプロジェクトはベールに包まれたままだが、ジョゼップ・マリア・バルトメウが会長辞任を発表した席上で質問を一切受け付けることなくクラブとして参戦する方針を固めたことを明らかにしたバルセロナに続き、くしくもラ・リーガ2強が牽引役を担っている。

 仮にそのシナリオが現実のものになれば、サッカー界にもたらされる影響は甚大だろう。自らの意思で参戦するエリートクラブはまだいい。より心配なのは蚊帳の外に置かれるその他の99%のクラブの行く末だ。

 スーパーリーグ創設の動きを観察していると、ネス湖のネッシーを思い浮かべてしまう。出てきては消えとその実態がなかなか明らかにならないからだ。ただ同時にいつ出現してもまったく不思議ではないのも事実だ。

 このプロジェクトは大金を動かすことが許されたエリートクラブだけが繁栄できるように構想されている。その発想は貧富の差が広がる一方の現代社会を反映しているともいえ、長く庶民のスポーツとして親しまれてきたサッカーの本質とは対極に位置する。

【動画】マドリーの最新試合、ビルバオとのスーペル・コパ準決勝のハイライト
 
 比較対象となるのはNBAだろう。バスケット界の最高峰のリーグとして君臨し続け、NBAとその他大勢という形が出来上がっている。ただその中で大きく異なるのは、NBAは今から80年近く前に何もないところから誕生したことだ。一方で、スーパーリーグの創設はUEFAが主催するチャンピオンズ・リーグを頂点とする現行の体制に対する反逆行為に相当する。

 フロレンティーノ・ペレスは、新たなコンペティションの創設はサッカー界にとって不可避な流れであると強調した。その考え方の背景にはビジネスモデルを組み替えることで収益を伸ばそうという魂胆が見え隠れする。

 マドリーとバルサを除いた他のラ・リーガのクラブがどうなろうと関係ないと言わんばかりだ。

 2強が目論んでいるは3番手のアトレティコ・マドリーよりも3倍のテレビ放映権料を享受していた時代(2006年~2015年)への回帰だろう。
 

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