「イニエスタこそがふさわしいと…」メッシのバロンドール受賞は“盗難”? スペイン紙が10年前の結果を疑問視

2021年01月12日 サッカーダイジェストWeb編集部

仏誌のディレクターはイニエスタに“公式謝罪”

メッシ(中央)とイニエスタ(左)、シャビ(右)の3人がTOP3となり、バルサの存在感を示す結果となった2010年のバロンドールが、時を経て話題となっている。 (C) Getty Images

 賞レースの結果が満場一致となることは少ない。とりわけ世間の注目を集める大きな賞で、その事例が起きれば、妥当な受賞だったのかどうかは議論の的となり続ける。

 2011年1月に授賞式が行われた2010年のバロンドールはまさにそうである。リオネル・メッシがキャリア2度目の栄冠に輝いたとき、2位がアンドレス・イニエスタ、3位がシャビ・エルナンデスと、最終候補にはいずれもバルサの3人が選出された。

 この表彰を「盗難から10年が過ぎた」としたのは、スペイン紙『Marca』だ。現地時間1月11日、同紙は「多くがイニエスタこそふさわしいとしたから、議論を呼んだバロンドール」と指摘した特集記事を掲載し、「2010年はバロンドールが『盗まれた』年と考えられている」と言及した。

 個人賞であるバロンドールだが、『Marca』は「歴史的にワールドカップ(W杯)優勝チームのベストプレーヤーが受賞してきた」と指摘。その例として、2006年の受賞者ファビオ・カンナバーロを挙げた。同年に開催されたドイツW杯で優勝したイタリア代表のキャプテンである。

 周知のように、イニエスタは2010年の南アフリカW杯でスペインを初優勝に導く決勝ゴールを決めた選手だ。一方、受賞したメッシのアルゼンチン代表は、準々決勝でドイツ代表に敗れている。

 クラブレベルでは、メッシとイニエスタが所属するバルセロナは、2009-10シーズンのラ・リーガを制覇したものの、チャンピオンズ・リーグ(CL)ではベスト4に終わっている。

 バルサを抑えて、欧州を制覇したのは、ジョゼ・モウリーニョ率いるインテルだった。その主力だったヴェスレイ・スナイデルは、オランダ代表でも南アフリカW杯で準優勝に輝くなど確かな功績を残した。『Marca』は、「イニエスタの唯一のライバルになり得る選手だったのが、スナイデルだ」と伝えている。

 2010年のバロンドールは、フランス誌『France Football』が主催するバロンドールと、FIFAが主催する最優秀選手賞が統合された6年のうちの1年目だった。同誌のディレクターはのちに、「すまない、アンドレス!」という見出しの記事で、イニエスタに"謝罪"している。

 なお、今回、『Marca』は電子版で2010年バロンドールにふさわしかった選手をアンケート。約2万人弱のサポーターのうちの54%が、メッシ、イニエスタ、シャビの3選手の中からイニエスタを選んだ。

 おそらく議論が尽きることはないだろう。ただ、スペインでは多くの人が、メッシよりもイニエスタの受賞がふさわしかったと考えているようだ。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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