[高校選手権 決勝]山梨学院２（４PK２）２青森山田／１月11日（月・祝）／埼玉

　チームに２度目の優勝に導いた指揮官は謙虚に栄冠を嚙み締めた。

　第99回全国高校サッカー選手権大会は１月11日、山梨学院対青森山田の決勝が埼玉スタジアムで行なわれ、山梨学院が２-２からのPK戦を制して11年ぶり２度目の優勝を飾った。

　前半12分に広澤灯喜（３年）のゴールで早々に先制した山梨学院だったが、後半12分に青森山田キャプテンの藤原優大（３年）に同点弾を許すと、さらに同19分には安斎颯馬（３年）にも大会５ゴール目となる逆転弾を奪われてしまう。

　山梨学院の長谷川大監督は、「山田さんの圧力が想像以上に強かった。１点取られてからは受けに回ってしまった」と振り返る。今大会を圧倒的な力の差を見せつけて勝ち上がってきた青森山田を前に、後半は我慢の時間帯を強いられた。

　しかし、「そういう時間帯のなかで、こちらもサイドからの攻撃で１点を取れたことがまた息を吹き返すことにつながった」と指揮官が語るように、選手交代でリズムを変えると、サイド攻撃が活性化。後半33分には、山口丈善（３年）の突破から野田武瑠（３年）が同点弾を決め試合を振り出しに戻す。

　試合は延長も含めた110分でも決着がつかず。勝負はPK戦へともつれこみ、GK熊倉匠（３年）の好守もあり、山梨学院が２度目の優勝を掴んだ。

　長谷川監督はゲーム終盤を振り返り「決定的なシーンを１、２本山田さんに作られてしまって、それが『こんなこともあるのか』という感じで入らない場面もあった。自分たちは本当に運にも助けられたところはあると思う」と語る。確かに、延長戦では青森山田のシュートがクロスバーを叩き、絶好の場面で枠を捉えきれないなど、運と言える側面もあったかもしれない。

　しかし指揮官は言う。
「今大会、運というか自分たちのところに流れてきている部分もすごくあったので、それは本当に選手たちの１年間の取り組みであったし、このコロナの中で我慢してやってきたり、仲間への感謝だったり、いろんなところが詰まったものだと思う」

　コロナ禍の異例な状況のなかで行なわれた今大会。長谷川監督は自らの力で運を手繰り寄せた選手たちの頑張りを称えていた。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部