【川崎】「後半途中で入れる選択も…」指揮官が中村憲剛“温存”の理由を吐露「やっぱりそこは憲剛だったので」

2021年01月01日 サッカーダイジェストWeb編集部

「結果そのまま勝てたけど…」

引退試合で中村に最後まで声は掛からなかったが、その裏には指揮官との厚い信頼関係があった。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部

[天皇杯決勝]川崎1-0G大阪/1月1日(金)/国立

 川崎フロンターレが難敵のガンバ大阪を1-0で撃破し、見事に天皇杯初優勝を果たした。

 圧倒的に攻め込みながらも点を決めきれず、焦れる展開のなかでついに均衡を崩したのは55分だった。レアンドロ・ダミアンのスルーパスにペナルティエリア手前で反応した三笘薫が、前に出てきた日本代表GK東口順昭の動きを冷静に見極め、鮮やかにネットを揺らした。
 
 その後はチャンスもありながら追加点こそ奪えなかったが、キャプテンの谷口彰悟を中心とした堅い守備で、終盤の相手の猛攻をシャットアウト。大卒ルーキーの1点で三大タイトル全制覇を成し遂げた。

 試合後の会見で、鬼木達監督は喜びを噛みしめながら、次のように選手を褒め称えた。

「多くのサポーターが駆けつけてくれたなかで、本当であればもっともっと点を取って勝ちたかった。ただそのなかでも、我慢強く最後まで0で抑えられたことは、選手の成長を本当に感じる。今年はコロナの大変ななか、選手はよく頑張ってくれたと思う。感謝している」

 続けて、1点を巡る攻防となった激闘に関しては、こう振り返っている。

「テンポはなかなか出せなった。少しボールの動かし方が各駅停車になってしまったりとか。あとは誰を食いつかせるとか、そういうところがもう少し明確にできれば良かったと思う。ただ時間とともに、相手を押し込んでからはかなりいい形を作り出してくれていたので、そこに至るまでの時間は少しもったいなかった。それでもあれだけ外し続けているなかで、切れずにやり続けたことは成長かなと思っている」
 
 そして会見では川崎一筋18年、クラブの酸いも甘いも噛み分けた中村憲剛にも言及。「使ってあげたかった」と本音を漏らしている。

「今まで本当に『使わなかったからごめんね』みたいなことは一度も言ったことはないが、今日に限ってはもう引退する選手だったので、もうそこは使えなくて申し訳ないっていう話をした。もちろん憲剛は『チームの勝利が優先だから』っていう話もしてくれたし。

 ただ自分の中のプランとしては、後半途中で憲剛を入れるっていう選択も正直あったが、やっぱり最後、今日のゲームは延長まで考えていて、あの展開でもし延長になったときにスタジアムの雰囲気を変えられるのは誰かっていうのを考えていた。そういう意味で言うと、やっぱりそこは憲剛だったので。

 結果そのまま勝てたけど、『もしそういう状況になっても新たなパワーを生み出せるのは憲剛だろう』と、本人にもそういう形でそういう決断をしたんだと伝えた。(憲剛は)『そんな感じも思いました』って言っていた笑」

 "川崎イヤー"、そして"憲剛ラストマッチ"を天皇杯初制覇で綺麗に締めくくったフロンターレ。勢いそのままに、アジア・チャンピオンズリーグにも参戦する新シーズンは、日本勢3年ぶりのアジア制覇にも大きな期待が寄せられる。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部
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