「中村史上最高の1年が送れた」引退の中村憲剛、ラストゲームは出場せずも笑顔で18年の現役生活に幕

2021年01月01日 サッカーダイジェストWeb編集部

僅差の勝負となり、出番は見送られたが…

天皇杯の獲得で有終の美を飾った中村。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

[天皇杯決勝]川崎1-0G大阪/2021年1月1日(金)/国立

 川崎のバンディエラは、現役最後のゲームのピッチに立つことはなかったが、タイトル獲得で有終の美を飾った。

 2021年元日に行なわれた100回目の天皇杯決勝は、川崎が大型ルーキー三笘薫の決勝ゴールで初優勝を成し遂げた。この試合で引退する中村憲剛はベンチスタート。僅差の勝負の中で、鬼木達監督は最後まで中村に出場機会を与えることなく、1点差の逃げ切り勝ちを掴んだ。

 試合後、インタビューに応じた中村は「感無量です。嬉しすぎます。おそらくたぶん、世界でいま一番幸せなサッカー選手だと思います」と出番はなかったものの、現役最後の試合でタイトルを掴んだ喜びを表現した。

 さらに、出場機会がなかったことについては、「後半1点取って、ああいう展開になるというのは1点差なんで。そこも頑張ってみんなで凌いで、僕もアップしながら声を掛けながらともに戦っていたつもり。本当に出れなかったのは残念ですが、それはもう勝負なので、勝ちがすべてというのは4年前の敗戦の時に痛いほど感じたこと。みんながその悔しさを胸に、4年間培ってきたものが最後出せて勝てたということがまたフロンターレの新しい歴史につながるんじゃないかとベンチから見ていて思いました」と語り、試合展開のなかで出番がなかったことに理解を示すとともに、タイトルを掴んだという事実に胸を張った。

 さらに中村は、最後のメッセージを求められると、以下の言葉でチームメイトやサポーター、日本サッカーに携わるすべての関係者へ感謝を伝えている。

「僕はもう今日は出ていませんし、しっかりフロンターレの形というものがあるので、僕が今までやってきたことは後輩たちに、しっかり託せるくらい成長して預けるからこそ引退できるというのもあるし、そこは心配していません。僕はとにかくこのあと、フロンターレに入れるような子どもたちを育てる仕事もそうですし、フロンターレを大きくすることもそうだし、ひいてはJリーグもそうだし、サッカー協会もそう、日本サッカーに貢献したいと思います。本当に18年というのは長い選手生活で、今でもちょっと実感がなくて、来週も等々力でボールを蹴りそうな感じも持っているんですけど、それももう叶わないというのはこの後たぶん、時間を追うごとに感じてくるんじゃないかなと思います。
 
 とにかく18年の最後に、中村史上最高の1年がみんなのおかげで送れたのは本当に嬉しく思います。サポーターの皆さんもサッカー関係者の皆さんも今シーズンはコロナの影響が大変だったと思うんですが、そこをみんなで手を取り合って、我慢しながら、最終的に全部の日程をこなすことができたのは、本当にいち選手として感謝していますし、このみんなの団結で、また2021年のシーズンをみんなで日本サッカーを盛り上げていければいいなと思いました。本当に素晴らしい決勝戦だったと思います。本当にありがとうございました」

 日本サッカーのレジェンドにふさわしい晴れ舞台で引退の花道を飾った中村。今後の活躍にも期待したい。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

【PHOTO】選手・サポーターに惜しまれながら…18年の感謝を伝える中村憲剛を特集!
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