日本を知る智将が指導する精鋭に成長!メッシ世代以来の金メダル獲得へ――【東京五輪の注目国|アルゼンチン】

2021年01月02日 チヅル・デ・ガルシア

現役時代に鳥栖と福岡でプレーした智将

育成力に長けたF・バティスタ監督の指導を受け、確実に実績も残してきたアルゼンチン。金メダルを獲得する可能性も小さくない。 (C) Getty Images

 昨年1月、アルゼンチンU-23代表はコロンビアで開催されたプレオリンピコ(五輪予選)で優勝し、東京行きの切符を勝ち取った。鍵となる選手を欠いたチームで挑んだが、いざ大会が始まると主力の不在を忘れてしまうほどの攻撃力とバリエーション豊かな展開力を見せ、6勝1敗の戦績で16年ぶりに行なわれた同大会を制した。

 そんなアルゼンチンU-23代表を率いるのは、「ボチャ」の愛称で親しまれるフェルナンド・バティスタ。元アルゼンチン代表監督で、1986年のメキシコW杯優勝メンバーでもあったセルヒオ・バティスタの弟としても知られる指揮官だ。現役時代には、アルヘンティノス・ジュニオルスでのデビュー後、母国の3チームを渡り歩き、そしてアビスパ福岡とサガン鳥栖でもプレーした経歴を持つ。

 2002年に引退してからまもなくバティスタ家の伝統でもある育成年代の指導者に転身。当初はアルゼンチン国内でも認知度が低かったが、同分野における18年のキャリアと知識が高く評価され、2018年12月に「Proyecto de 10 Años(10年プロジェクト)」の名の下に代表チーム強化計画を進めるアルゼンチン・サッカー協会(AFA)からユース部門の再建を託されると同時に、U-20代表監督に就任した。

 その指導力は確かなものがある。元々、育成に定評のあるアルヘンティノス出身であること、また父ホルヘ(故人)が長年にわたって若手の指導に従事していた影響から、F・バティスタ監督はアルゼンチン国籍を保有するユース年代の選手に関するデータを徹底管理。一昨年はその豊富な情報量と独自の育成術を活かして、短期間でチームを作り上げ、就任から2か月後に開催されたU-20南米選手権で準優勝に輝いた。
 
 さらに7月にペルーで行なわれたパンアメリカン競技大会では金メダルを獲得し、それから半年後となる先述のプレオリンピコ制覇も含め、ユース代表監督になってからわずか1年の間に好成績を残しているのだ。

 そのF・バティスタ監督は、昨年3月に東京五輪に向けた50人を選出し、IOCに提出しているが、そのうち46人はユース代表でこれまで実際に指導したことのあるメンバーだ。

 今後、各国のサッカーカレンダーによって五輪に出場できない選手が出てくることも十分想定できるが、人選を任された智将は、「アルゼンチンには優れたタレントが揃っているので、いかなる状況においても国際大会に相応しいコンペティティブなチームで挑む」と確信を抱いている。

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