「ケチャップは論外で…」元イングランド代表“9番”が智将の仰天解雇理由を告白「僕らには死活問題だった」

2020年12月24日 サッカーダイジェストWeb編集部

後任監督が放ったセリフとは?

スペインでの実績を引っさげてトッテナムの指揮官となったラモス(右)だったが、ある理由でその職を追われた。 (C) Getty Images

 監督が解任される理由は様々だ。チームの結果が芳しくないのはもちろんだが、フロントとの関係に軋轢が生まれ、求心力を失った場合にも職を追われる場合もある。

 ユニークな理由で解任された指揮官たちも少なくない。かつてトッテナム・ホットスパーで辣腕を振るったスペイン人監督のファンデ・ラモスは、"食事"を理由にノースロンドンを追われた人物だ。

 セビージャをUEFAカップ制覇に導くなど確かな実績を引っさげ、2007年10月にトッテナムの指揮官に就任した"智将"は1年目からリーグカップ優勝という結果を残す。だが2シーズン目にさらなる躍進を期待されるも、翌年10月に解任の憂き目に遭うのだった。

 なぜ彼はわずか1年でクビになったのか。当時、トッテナムのエースに君臨し、イングランド代表で9番を背負った経験を持つダレン・ベントは自身がコメンテーターを務めている英スポーツ専門ラジオ局『talkSPORT』で「彼はあまりに多くのことを誤ったタイミングで変化させようとしたんだ」とし、「とくに食事制限はショッキングなレベルだった」と語った。

「カペッロにも似ているんだけど、ラモスはかなり厳格な食事制限を設けた。普通、試合前はいくつかの料理が選べて、なおかつデザートには誰もが大好きなクランブル(イギリスのお菓子)が付いてくる。だけど、ラモスが来た時には肉か魚が一品ずつに、米と野菜しか出ないんだ。もちろん味付けなんてないよ。塩もコショウもダメ。ケチャップやソースなんて論外だよ」
 

 練習後にクラブから提供されていた食事も「ドライフルーツかソースのかかっていない茹でたパスタだけになった」という元イングランド代表FWは、「あまりの質素さが次第に選手の不満となった」と明かしている。

「しばらくして誰もが文句を言うようになったんだ。キャプテンのレドリー・キングなんて『監督見てください! みんなが苦労している。この食べ物はなんです?』と直談判したほどだ。結局、選手たちの不満がラモスを崩したのかもしれないね。馬鹿げた話に聞こえるだろうけど、僕らにとっては死活問題だった。本当に苦労したんだ」

 厳しすぎる食事制限によって疲弊したことがラモス解任に繋がったと告白したベントは、最後に後任監督として招かれ、約4年に渡って指揮を執ったハリー・レドナップが放ったセリフも明かしている。

「ハリーはチームにやってきた初日に食堂でケチャップを持ちだして選手たちに言ったんだ。『さぁ、お腹が空いたからご飯を食べようじゃないか。何だい? ここじゃ赤いものは禁止なのかい』ってね。自分たちがいかに惨めだったのかを感じた」

構成●サッカーダイジェストWeb編集部
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