「タキはずっとセンセーショナルだ」熱血漢クロップが“1ゴール”の南野拓実を評価するワケとは?

2020年12月23日 サッカーダイジェストWeb編集部

辛口なメディアから三行半を突き付けられたことも…

クリスタル・パレス戦でプレミア初ゴールを奪って喜びを爆発させた南野。 (C) Getty Images

「タキはここに来た時から、ずっとセンセーショナルだ」

 リバプールを率いる熱血漢のユルゲン・クロップは、今月16日に行なわれたトッテナム戦で配布されたマッチデイプログラムのインタビューで南野拓実に関してそう口にした。この時点でプレミアリーグで1点も奪えていないストライカーを褒めたのだ。

 今年1月にリバプールの一員となってからおよそ1年、南野拓実は悪戦苦闘を続けてきた。

 主力を担っていたレッドブル・ザルツブルグから鳴り物入りで加わったサムライ戦士だったが、モハメド・サラー、ロベルト・フィルミーノ、サディオ・マネの3トップの牙城は崩せず。入団2年目となった今シーズンには、不慣れな中盤で起用される試合もある。

 辛口な一部のメディアでは、事実上の三行半とも取れる言葉も突き付けられた。それでも南野は指揮官の起用法に不満を漏らすことなく、辛抱強くプレーし続けた。

 そしてようやく訪れたのが、現地時間12月19日に開催されたクリスタル・パレス戦でのプレミアリーグ初ゴールだった。敵エリア内で相手DFのプレッシャーを受けながらも、冷静なトラップでかわしてから右足を振り抜いた南野。得点直後に大声で叫んだシーンからは、それまでの苦労が伝わってくるようでもあった。
 
 利他的な精神を求められながら、個人としての結果も必要とされるチームにあって、ようやく目に見える成果を残した南野を指揮官は高く評価し続ける。その理由は、先述のマッチデイプログラムのインタビューでも明かされている。

「私は誰か特定の選手について話すのは好きじゃない。だけど、タキは私が強調しておきたい選手だ。彼の心構えは常に最高レベルで、弱点を改善するための取り組みも怠らない。彼はチームで辛抱強さが必要とされた。その状況は私もとても難しいだろうと思えたぐらいだ」

 どんな時も熱心に取り組む南野の姿勢を指摘したクロップは、こうも続けている。

「彼の先発での出場機会が少ないのは、彼が良くないからではない。それは彼のポジションでプレーする選手がどれだけ一貫性を持っているかに関わることだ。タキは模範を示すことの尊さを全員に教えている。全てを注いでくれるんだ。

 最近、私は彼を中盤で使うようになったが、彼はそれを受け入れて、積極的に取り組んでくれている。こうしたチームために身を投じる姿勢は、シーズンを成功させるうえで絶対に必要なものだ」

 南野の活躍も光って7-0と大勝したクリスタル・パレス戦後には、「タキは間違いなく素晴らしい瞬間を過ごしている。だから我々はそれを活かしていきたい」と口にしたクロップ。こうした指揮官の言動を見るに、日々の練習から腐ることなく取り組んできた男に、ようやくスポットライトが当たろうとしているのかもしれない。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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