【U-22日本代表】値千金の決勝弾を決めた久保裕也――“上手さ”から“怖さ”への覚醒に期待

2015年04月01日 サッカーダイジェスト編集部

「良いボールだったので合わせるだけでした」(久保)

ベトナム戦同様に引いた相手の攻略に苦心しながらも前半終了間際に先制ゴール。久保(背番号10)のゴールはチームに精神的な落ち着きを与えた。 写真:佐藤明(サッカーダイジェスト写真部)

 激しいスコールのため、日本対マレーシア戦の前に行なわれていたベトナム対マカオ戦は一時中断。その影響で、日本はキックオフこそ予定通りの時間で迎えたものの、選手たちは十分なアップができないまま、今予選の最終戦に挑むことになった。

【PHOTOギャラリー】リオ五輪アジア1次予選 第3戦|日本 1-0 マレーシア

 当然のように、ピッチの状態は劣悪だった。切り替えしや方向転換をする際に足を取られる選手が目に付く。とはいえ、マレーシアは第2戦のベトナム同様、5バックで引き気味に守りを固めてきたこともあり、ポゼッションで優位に立った日本が主導権を握る展開となった。
 
 6分にさっそく鈴木武蔵が相手GKを慌てさせる一撃を放ち、16分には安在和樹の強烈なミドル、20分にはポストを叩く野津田岳人のFK、32分には遠藤航の遠目からの惜しいシュートなど、日本は次々と決定機を築いていく。
 
 しかし、そのどれも決めることができない。もどかしい時間が流れるなか、この日はトップ下で先発した久保裕也も、なかなか決定的な仕事ができずにいた。
 
 本人が「試合中はあまり気にしないようにしていた」と語るように、痛めている右足の影響はそこまで感じさせなかったが、圧倒的な違いを見せられていたわけでもなかった。
 
 周囲との連係はいくらか改善されてはいたものの、それでもまだ欲しいタイミングでパスが受けられなかったり、裏に抜け出す動きが味方とかぶったりと、周囲との呼吸が合わない場面は少なくなかった。
 
 相手のタイトなマークにボールを失うこともあった。シュートの数も少なかった。相手にそこまでの脅威を与えられた存在だったかといえば、パンチ力に欠けた部分は否めない。
 
 それでも、結果を出してみせた。「決められて良かったです」と淡々と振り返った、この試合唯一のゴールが生まれたのは41分。左サイドの安在からのクロスに反応した久保が、「感覚で狙って打った」というヘディングシュートでネットを揺らした。
 
「きっちりと良いボールを上げれば決めてくれると思ったので。ボールも思い通りのところに行ったので良かった」と安在が胸を撫で下ろせば、「良いボールだったので合わせるだけでした」と久保も仲間のアシストを称えた。
 

次ページ特大のインパクトはなくともポテンシャルの一端は垣間見せた。

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