<2020ベストヒット!>智将ヴィラス・ボアスが“ネイマール騒動”に揺れた酒井宏樹を絶賛!「彼は毅然とした人間で…」

2020年12月18日 サッカーダイジェストWeb編集部

「クソ中国人」だけでなく「最低のリーグだ」とも…

ネイマールとの激しいマッチアップを演じた酒井。その最中に起きた大騒動についてマルセイユ指揮官が語ったのは…。 (C) Getty Images

 2020年の名場面を『サッカーダイジェストWeb』のヒット記事で振り返る当企画。今回は、9月にリーグ・アンで起きたネイマールによる「人種差別発言疑惑」にまつわる後日談だ。同13日の第3節・パリ・サンジェルマン対マルセイユの一戦で起きた騒動は、日本代表DFの酒井宏樹も巻き込み大きな話題を呼んだが、最終的に証拠不十分としてネイマールへのお咎めはなし。そして、マルセイユのアンドレ・ヴィラス・ボアス監督が酒井について語ったこととは――。

記事初掲載:2020年9月30日

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 フランス版クラシコで起きた一連の騒動について、マルセイユの指揮官が改めて持論を語った。

 世界を騒がせた騒動の発端となったのは、リーグ・アン第3節のパリ・サンジェルマン対マルセイユの一戦(マルセイユが1-0で勝利)の試合終盤で起きた揉め事だ。

 両チーム合わせて5人の退場者を出した衝突のなかで、パリSGのネイマールとマルセイユのアルバロ・ゴンサレスが激しい罵り合いを展開。前者は人種差別的な暴言を吐かれたと憤慨し、後者は同性愛者を侮辱する発言を受けたと主張した。

 さらに試合後にスペイン・メディアが、ネイマールが酒井宏樹に向かって「クソ中国人!」と罵った疑惑を動画と共にすっぱ抜き、事態は大騒動へと発展していった。

 しかしながら、現地9月30日にフランス・プロリーグ機構の懲戒委員会は、「差別的な発言があったと立証する十分な証拠は存在しない」としてネイマールとアルバロに制裁を加えないことを決定した。
 この処分について指揮官が口を開いた。現地時間10月2日に行なわれた会見で、マルセイユのアンドレ・ヴィラス・ボアス監督は、「私には過去にも似たような経験があった」と振り返っている。

「チェルシーを率いていた時代に、アントン・ファーディナンドとジョン・テリーの間に起きた問題があった。その時も私は人種差別の可能性はなかったと事実を主張していたが、私のスタンスは変わらないよ。サッカー界にいかなる差別もあってはいけないからね。

 私はアルバロも、ネイマールも、差別主義者ではないと確信している。実際に読唇では30%の信頼性しかなかったというのが、懲戒委員会の決定だ。我々はその判断に満足しているよ」

 また、騒動後に自身のインスタグラムで「お互い熱くなっている試合中の些細な出来事であり差別とは全く関係ありません」と綴った酒井について、ヴィラス・ボアスは、次のように讃えている。

「あなたたち(メディア)は、彼らが対立する構図を作ろうとしていたのだろう。ただ、我々はそういったものに慣れている。そういう意味でも、サカイの行動は見事だった。彼は常に毅然とした人間で、今回も一件について自分自身で考えたうえで、正しい答を出してくれた」

 冷静沈着に、敵のエースとの騒動を鎮静化させた酒井。その振る舞いに、百戦錬磨の智将も感嘆したようだ。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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