「私は何も誤っていない」CLで人種差別発言をしたルーマニア人審判は非を認めず「友好的に接しようと…」

2020年12月10日 サッカーダイジェストWeb編集部

「ルーマニアでは、そう呼ぶ」と釈明も…

激怒するウェボに対し、気まずそうに目線をずらすコルテスク審判。彼の発言は世界的に物議を醸すことになった。 (C) Getty Images

 欧州最高峰の舞台で起きた一連の騒動について、"当事者"が口を開いた。

 世界を巻き込んだ騒動の発端となったのは、現地時間12月8日にパリで開催されたチャンピオンズ・リーグ(CL)のグループステージ最終節、パリ・サンジェルマンとイスタンブール・バシャクシェヒルの一戦だ。

 13分、味方の選手が受けたハードタックルについて抗議の声を上げたバシャクシェヒルのアシスタントコーチ、ピエール・ウェボに対し、第4審判のルーマニア人のセバスティアン・コルテスクが「黒人」と口にしたのだ。

 これに激昂したウェボが「なぜ『黒人』と呼ぶんだ?」と繰り返し問いかけながらコルテスク審判に詰め寄ると、一気に両軍ベンチを巻き込んだ騒動に発展。コルテスク審判が「ルーマニアでは、黒人に対しては肌の色からそう呼ぶ。これはルーマニア人の間での会話だ」と釈明するも、バシャクシェヒルのデンバ・バは「じゃあ、なぜ白人を『白人』と呼ばないんだ?」と反論。結局、両チームの合意の下で試合は中断され、そのまま翌日に延期となった。

 世界的な注目を集めた一戦で問題発言を発し、バッシングを受けることになったコルテスク審判だが、試合後にルーマニア・メディア『ProSport』のインタビューに応じた際には、次のようにコメントしている。
 
「私はただ友好的に接しようと考えていただけだ。あらゆるメディアの情報を読むつもりもない。私は何も誤ったことはしていなかった。それに私のことを知っている人間ならば、誰もが私を人種差別主義者ではないと言うだろう。少なくとも私はそう願っている……」

 だが、渦中のルーマニア人審判へのバッシングは止む気配がない。フランスのサッカー専門誌『FRANCE FOOTBALL』は、母国ジャーナリストであるエマニュエル・ロシュ氏のSNSを引用し、前述のコルテスク審判の釈明についてこう説いている。

「ネグル(英語のネグロ=黒人)が、ルーマニアで有色人種のことを表現するような攻撃的な単語として使われることはない。この状況を見る限り、コルテスクに弁明の余地はない」

 大舞台で起きてしまった差別問題。UEFAは「我々は本件を徹底的な調査する」と声明を出しているだけに、新たな再発防止策の考案を含めた今後の動きが注目される。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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