【U-22日本代表】2得点の活躍にも満足せず――10番を背負う中島翔哉の矜持と責任感

2015年03月30日 広島由寛(サッカーダイジェストWeb編集部)

辛抱強くプレーした結果の“褒美”。

粘り強さで奪った先制点。前半終了間際のゴールは非常に貴重なものだった。南野(左)と喜びを分かち合う。 写真:佐藤明(サッカーダイジェスト写真部)

 キックオフを迎える頃は雨脚が弱まっていたものの、試合開始約1時間前に降り出したスコールの影響で、「足首まで埋まるようなピッチ」(手倉森誠監督)に日本の選手たちは手を焼いた。
 
 5バック+中盤4枚で分厚いブロックを組んで守りを固めてきたベトナムは、予想どおり球際も激しく、日本は思うように相手の堅牢なディフェンスを崩せずにいた。
 
 攻めあぐねる展開のなか、それでもいくつかのチャンスを築いたが、そこには背番号10の姿があった――。
 
 14分、矢島慎也の縦パスに南野拓実が絡み、中島翔哉がタイミング良く抜け出そうとする。その2分後、松原健のクロスに中島が飛び込むもわずかに合わせられなかったが、23分には大島僚太のパスを南野がスルーして、受けた中島が際どいシュートを放つ。これは惜しくも相手GKのセーブに阻まれたが、日本の最初の決定機を演出してみせた。
 
「味方がフリーであれば、相手の背後(を狙って)、得点に一番近い動きを意識していた」
 
 そうした狙いはある程度奏功した部分もあったが、なかなかゴールに結び付けられない。中島自身「それだとちょっと停滞していたのもあったので、受けながら前に入っていこうと言う風に変えました」と前半を振り返る。
 
 日本にとって難しい時間帯が続くなか、攻撃の中心的役割を担う中島は試行錯誤を繰り返していた。いついかなる時もサッカーを楽しむことを大切にし、「ボールに触らないと面白くないから」という言葉どおり、積極的にプレーに関与しては、ゴールへの道筋をつけようと奮闘していた。
 
 ともに初戦で勝点3を掴んだ同士の対戦であり、1次予選突破の鍵を握るこのゲームで、手倉森監督は「彼(中島)と(久保裕也、南野の)海外組を組ませた」。
 
 チームがさらに進化していくための注目ポイントのひとつで、3人の連係に「少しのズレがあった」(手倉森監督)にせよ、「そういったなかでも(中島は)辛抱強く、最後までプレーしてくれた結果、彼にゴールという褒美が訪れたと思います」と指揮官は評価する。
 
 その最初の"褒美"は、前半終了間際に訪れた。

【PHOTOギャラリー】リオ五輪アジア1次予選 第2戦|日本 2-0 ベトナム

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