9か月ぶり観客動員の英2部で波紋。ミルウォール・サポーターが“BLM”へブーイング「連中が台無しに…」

2020年12月06日 サッカーダイジェストWeb編集部

英メディアで非難の声が上がる

人種差別への反対を訴えるBLMへの賛同の意志を示した選手たちの行為を台無しにしたのが、サポーターたちだった。 (C) Getty Images

 イングランドで前代未聞の事態が起きた。

 現地時間12月5日に開催されたチャンピオンシップ(イングランド2部)第16節のミルウォール対ダービー・カウンティ戦だった。

 この試合からイングランドでは、一部の会場において制限をかけた上でのファンの入場が開始され、ミルウォールの本拠地『ザ・デン』にもおよそ9か月ぶりのスタジアム観戦を心待ちにした人々が集まった。

 しかし、キックオフ直前にそれは起きた。今年6月ごろからイングランド・サッカー界で続けられてきた、選手やスタッフ、審判団が片ひざを付いて「Black Lives Matter(人種差別抗議運動)」に賛同するポーズをとった際に、なんとスタンドから激しいブーイングが飛び交ったのである。

 差別問題を軽んじているとも取れる行為だ。長年、暴力や問題行動が指摘されながら、現地でも「どうしようもない」と放置されてきた一部のミルウォール・サポーターだが、今回のブーイング行為は許されない振る舞いだろう。
 

 実際、地元メディアでも問題視する声が挙がっている。英公共放送『BBC』の番組に出演した元イングランド代表DFのマイカー・リチャーズは、「ただただガッカリだ。2000人しかいないのだから誰がやったかは特定できるはずだ。もう言い訳はできない」と猛烈に批判した。

 さらにかつてミルウォールに在籍した経験を持つ元イングランド代表FWのディオン・ダブリンは、「一部だが、彼らは人種差別主義者なんだ」と訴えた。

「彼らの一部は自分たちが人種差別主義者だからひざまづくことに同意しない。私は在籍していた当時からそれを感じていた。ミルウォールはもう何年もあらゆる問題を根絶しようとして、正しい方向に進もうとしている。けれど、そのたびに連中が台無しにするんだ」

 今回の騒動を受け、イングランド・サッカー協会は「我々は膝をつく行為を含め、全ての人種差別の撲滅を訴える行動をしている選手やスタッフたちをサポートする。そしてその活動に反対するサポーターたちを強く非難する」と声明を発表している。はたして、ミルウォール・サポーターたちが罰せられることになるのだろうか。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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