「君たちのせいだ!」クロップ、過密日程への不満爆発! 問題の“根源”とされる放送局記者と激論「選手を守るために…」

2020年11月29日 サッカーダイジェストWeb編集部

「利己的」と皮肉られたライバル監督にもやり返す

選手のクオリティーに影響を及ぼしている過密日程にクロップが怒りを露わにした。 (C) Getty Images

 あまりの過密日程に、プレミアリーグ王者の指揮官も我慢の限界を迎えてしまったのかもしれない。

 現地時間11月28日に開催されたプレミアリーグ第10節で、敵地に乗り込んでブライトンと対戦したリバプールは1-1で引き分けた。1点をリードしていた後半アディショナルタイム1分にVAR検証の末に取られたPKを決められ、勝点2を落とした。

 文字通りあと一歩のところで勝利を逃したレッズ。2度のゴール取り消しを含む3度のVAR判定に泣かされた格好となったが、試合後に指揮官のユルゲン・クロップが激怒したのは、チームが精彩を欠く原因となっている過密日程に対してだった。

 現在、リバプールがフィルジル・ファン・ダイクやトレント・アレクサンダー=アーノルド、チアゴ・アルカンタラなど主力が相次いで負傷離脱中だ。加えてプレーしている主力メンバーも代表戦に参戦するなど疲労が蓄積。今節もサディオ・マネをベンチスタートにせざるを得ない苦しいマネージメントを強いられている。

 さらにブライトン戦では、公式戦3試合連続フル出場を果たしていたジェームズ・ミルナーがハムストリングを痛めて負傷交代。クロップは新たな頭痛の種を抱えることになったのだ。

 苦しい台所事情を強いられる根源の一つとなっているのが、放送局の都合ありきで組まれているとされる過密日程だ。それに対してクロップは、これまでも不満を口にしてきたが、ついに堪忍袋の緒が切れてしまったようである。

 試合後に試合中継を担っていた英スポーツ専門局『BT Sports』のフラッシュインタビューで、「ミルナーが怪我をしてしまいましたね」と問われたクロップは、インタビュアーのデス・ケリーに目線を向け、「そうだ。おめでとう!」と一言。さらに「それは私にですか?」と訊かれ、こう続けた。

「いや、そういうわけではないが、君は彼ら(中継局)のために働いているからね。ハムストリングだ。驚きだろう。でも、彼は怪我をしたんだよ。どうすれば回避できるかはクリス・ワイルダーに訊いてくれ」
 
 以前から過密日程の緩和と選手交代の5人制導入を求めていたクロップ。それに対して、シェフィールド・ユナイテッドのクリス・ワイルダー監督から「彼は利己的な政治家のようだ。上位クラブのことしか考えていない」と批判されたことを皮肉ったのだ。

 ライバル指揮官を皮肉ったドイツ人監督は、さらに語気を強めて持論を主張し続けた。

「一体どのくらいの頻度で言えばいいか分からない。だが、これも君たちが12時半にキックオフ時間を設定したせいだ。あなた個人が選んだわけではないだろうがね。水曜日にプレーをした後の土曜日、それもこの時間帯にプレーさせることは、どのクラブの選手にとっても本当に危険なことなんだ。

 それを君たちが『気にしている』と言うのなら、なぜクリスタル・パレス戦もこの時間帯なんだ? それも君たちが決定したことだろ。それからこれはとても興味深いことだが、先週に監督会議をした時、15対5、16対4ぐらいで交代枠を5枚にしてほしいという裁決になった。それなのに交代枠は変わらないんだよ。

 ワイルダーは私をわがままだというが、現状を見れば、わがままなのはどっちか分かるだろう。彼の方が利己的ではないのかな? 私は戦術的な意味だけで交代枠の拡大を求めているんじゃない。選手たちを守るために言っている。こういったことはあまり言いたくないが、最終的な決定を下す人間が問題なんだ。株主たちだからね」

 激しい口調で、ルール改善に二の足を踏むプレミアリーグへの不満を打ち明けたクロップ。5人交代制はビッグクラブに有利という意見が少なくないが、彼の主張は上層部に届くのだろうか。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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