「オサスナを選んでいれば…」レアル番記者が指摘した久保建英の“誤算”。「マドリーにもビジャレアルを勧めた負い目がある」【現地発】

2020年11月27日 セルヒオ・サントス

「40試合スタメン出場」という青写真は…

ここまでリーガではスタメンが1試合しかない久保。(C)Mutsu FOTOGRAFIA

 ラ・リーガ第10節、ビジャレアルはホームにレアル・マドリーを迎えた。タケ・クボ(久保建英)にとっては保有元のクラブとの対戦で、当然、モチベーションは高まっていたはずだが、出場はラスト数分間にとどまった。

 相手GKとの1対1の場面で得点を決めていればヒーローになるチャンスもあったが、この一戦でタケがベンチスタートとなるであろうことは当初から予想されていたことだった。実際、ヨーロッパリーグ(EL)では全試合に先発で出場しているが、ラ・リーガではスタメンに名を連ねたのは第7節のカディス戦の1度のみだ。

 ビジャレアルにおいてタケの立ち位置がバックアッパーというのは開幕から2か月余りを過ぎてもはや紛れもない事実になっている。ウナイ・エメリ監督はジェラール・モレーノ、パコ・アルカセル、モイ・ゴメスといった選手をより信頼し、タケは2番手的な位置づけだ。

 もちろんここから巻き返して定位置を奪うことは可能だが、ローテーションを好んで採用するエメリ監督の下では継続してスタメンに出場するのはなかなか難しいだろう。ラ・リーガ挑戦2年目を迎えるにあたり、「40試合スタメン出場」という青写真を描いていたタケにとっては誤算である。

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 周知のとおり、このオフ、タケの元には多くのクラブからオファーが届いていた。その中でタケはビジャレアルを選択した。もし過去に戻ることができれば――。そう考えたとしても不思議はなく、実際、親しい人間には、熱心に誘われ、本人も魅力を感じていたオサスナに移籍したほうが出場機会に恵まれていたかもしれないと漏らしたこともあるという。しかし言うまでもなくもう過ぎ去ったこと。タケはいまビジャレアルでプレーしている。それが現実だ。

 たしかに一つの抜け道が存在する。今冬の移籍市場で再移籍することだ。ただいくらタケサイドが希望したとしても、すべてはビジャレアルの考え次第で、現時点では現実味は薄い。

 留意すべきは、バックアッパーとはいえ、タケは重要な戦力のひとりであること。それは前述したようにヨーロッパリーグでの起用法を見ても明らかだ。ラ・リーガでも同様の扱いを受けていないことがタケサイドの不満の種であるが、ヨーロッパリーグもビジャレアルにとっては重要なコンペティションであり、エメリ監督からすれば、信頼を置いているからこそ起用しているという考えが根底にある。

 その貴重な戦力をシーズン途中に自ら手放すようなことは考えられない。あるとすれば、マドリーがそれに見合うだけの対価を提案した時だけだ。ただ、マドリー側も現時点で何もアプローチをしておらず、一部でそうした動きが報じられているのは、メディアを介して圧力をかけている人間がいるからに過ぎない。
 

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