【岩本輝雄】マリノスも善戦したけど…流れをグッと引き寄せた三笘のハイパフォーマンス

2020年11月19日 岩本輝雄

「スピードに乗れば、2人、3人をするりと抜く」

マリノス戦では1得点・1アシストの活躍で勝利に導いた三笘。出色のパフォーマンスだったね。(C)SOCCER DIGEST

 40分、ピンチの場面でペナルティエリアを飛び出したマリノスのGK高丘がハンドの反則で一発レッド。この試合のターニングポイントだった。

 フロンターレとマリノスの一戦、序盤からペースを掴んだのはマリノスだった。前線からの強度の高いプレッシングが奏功し、鋭く攻め立てる。前節はレッズに6-2の完勝。良い流れがフロンターレ戦でも続いているなと思った。

 なかでもCFのジュニオールがいいね。前を向いた時の迫力が圧巻。力強くゴールに突き進むプレーは素晴らしかった。

 でも、40分の退場でマリノスは数的不利に。さすがに首位を独走するフロンターレ相手に10人の戦いは厳しかったと思う。先制されて、一度は追いつく粘りを見せたし、ひとり少なくてもしっかりとボールをつなぐことはできていた。状況を見て、効果的にロングボールを入れる柔軟さも。1-1で迎えた75分、ジュニオールのお膳立てからエリキが決定的なシュート。これが決まっていれば、というシーンだった。

 最終的なスコアは1-3。終了間際に2失点して力負けした感じだけど、マリノスらしいサッカーは存分に表現できていたと思う。90分間を11人対11人の状態で見たかったね。

 一方のフロンターレでは、先制点を決めて、チーム3点目となる小林のゴールをアシストした三笘のパフォーマンスが出色だった。この日はベンチスタートで、後半の頭から途中出場。その存在が、流れを引き寄せる大きな要因でもあった。

 左サイドでスタンバイして、マイボールにすれば、アウトサイドでリズミカルにタッチしながら仕掛けていく。相手の状態をよく見て、縦に抜くか、カットインするかを瞬時に判断。スピードに乗れば、2人、3人をするりと抜く。動きがしなやかだよね。

 だから相手からすれば、簡単に飛び込めない。つまり、いったん守備が受けに回ってしまう。守備が"止まる"。こうなると、マリノスとしても苦しくなるよね。三笘の後ろからは登里が抜群のタイミングで上がってくるし、中央では脇坂や大島が絶妙なポジショニングで次の展開に備えている。これはやっかいだよ。
 
 相手の守備を止めたフロンターレは、複数の選択肢を持ちながら攻撃を繰り出す。そのなかでより際立っていたのが、敵陣のペナルティエリアに入ってくる動きだ。ペナの中をどう取るか。今季はこのアクションが洗練されている印象で、かなりトレーニングしたんじゃないかな。ゴール前は密集しているけど、フロンターレの選手たちは基本技術がしっかりしているから、狭いスペースでも正確にパスを通してくる。

 そこに絡んでくる三笘は、もちろん単独で縦にも突破できる。そしてパスセンスも高い。常にヘッドアップされているから、しっかりと周りが見えているんだろうね。しかも、トップスピードでそれをやってのける。三笘がワンランク上の選手であることの証明だよ。

 三笘のハイパフォーマンスもあって、マリノスに勝ったフロンターレは、次のトリニータ戦で勝利すれば、リーグ優勝が決まる。ただ個人的には、ここで優勝が決まらないでほしいかな、とも思う。トリニータ戦はアウェーだから。その次のガンバ戦はホーム。やっぱり等々力でシャーレを掲げたほうが盛り上がるんじゃないかな。

 いずれにしても、タイトル奪還は時間の問題だと思う。圧倒的な強さを見せたフロンターレがどんなフィニッシュを迎えるか。楽しみだね。

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