「クバの声しか聞こえなかった」仙台にポジティブな変化。16戦未勝利も…指揮官が感じたピッチ内の修正力

2020年10月31日 サッカーダイジェストWeb編集部

「難しいゲームでも自分たちの流れに持っていくのは可能かなと少し感じることができた」

仙台を率いる木山監督。守備面で手応えを掴んだようだ。写真:滝川敏之

[J1リーグ25節]仙台0—0広島/10月31日(土)/ユアスタ

 終盤の猛攻も及ばず、未勝利のトンネルは16試合を数えるに至った。

 ベガルタ仙台はホームにサンフレッチェ広島を迎え撃ち、本拠地での今季初白星、そして16試合ぶりとなる勝点3を目指したが、決め手を欠きスコアレスドローで決着。今節も待望の白星を手にすることは叶わなかった。

 仙台の木山隆之監督は「前節、ボールに(アプローチに)いけない形で失点して、自分たちのやるべきことをしっかりやろうと話してスタートした試合だった」と前節の反省を生かしてゲームに臨んだことを明かす。そのうえで「今日は意図的にスペースを突いたり、1対1のところにボールを預けるために、少し長いボールを使っていこうとしたが、フィードする前に圧力を受けて結果的に低い位置に押し込められる状況が続いてしまった」と前半を振り返った。

 後半に入り、スタート時の4バックから3バックに変更。押し返す場面も見せた。このシステム変更に関しては「自分たちのプレーの強度や質を保って行こうとしたときに、交代枠を使っていく時にどうするかということを考えた時に3バックという選択肢もあったし、細かくビルドアップというよりも、守備では戦えていた部分もあったし、相手と立ち位置がずれているよりも、相手とマッチアップした時に1対1で厳しく戦っていって、良い形でボールを奪えれば、前にボールを運べるチャンスは増えると思ったので、あえて合わせる形にしました」と、広島のシステムに合わせ、ミラーゲームとしたその意図を明かした。

 劣勢に立たされた中でチームが自ら守備を立て直し、流れを引き寄せたことは大きな収穫だろう。この点について、木山監督は前節の敗戦後に「一番大事なのは、基本をベースにしながら、中でコーチングしながら、誰が行くか、誰がカバーに入るのか、っていうのをはっきりさせること」であると、再度確認したと語る。

 さらに指揮官はこう続ける。
「前回の試合の時に、ピッチで声が出ていなかった。クバ(GKヤクブ・スウォビィクの愛称)の声しか聞こえないと。それは選手たちにずっと言っていること。やっぱりそこが出てこないと、試合中にゲームを変えていくこと、自分たちで押し戻していくことは不可能になる。ハーフタイムの修正しかできなくなるので、そこはもっと自分たちで突き詰めてやらなかければいけない」

 広島戦はスコアレスドローにこそ終わったが、"ピッチ内の修正"に関しては、「そうやっていけば難しいゲームでも自分たちの流れにもっていくのは可能かなと(選手たちも)少し感じることができたのではないかと思います」と指揮官も手応えを語る。

 長きに渡りサポーターに勝利を届けることが出来ていない仙台だが、少しずつチームには光明が見え始めているようだ。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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