40歳・遠藤保仁に感嘆。「ピルロのような」傑出したゲームメイクとディフェンスを支えるものは?

2020年10月26日 白鳥大知(ワールドサッカーダイジェスト)

ゴールに絡んだプレー以上に印象深いのが――

ザスパクサツ戦で傑出した活躍を見せた遠藤。写真:金子拓弥(サッカーダイジェスト写真部)

【J2リーグ第29節】ジュビロ磐田 3-1ザスパクサツ群馬(10月25日/@ヤマハスタジアム)

「ピルロみたい」

 ザスパクサツ群馬戦の遠藤保仁を見ながら、ヤマハスタジアムの記者席で思わずそんなメモを取っていた。どこか脱力している雰囲気で、常に冷静に振る舞いながら攻守を支え、直接FKでゴールを奪う――。40歳の大ベテランが見せた傑出したパフォーマンスは、かつて「世界最高の司令塔」と謳われた往年のアンドレア・ピルロ(元イタリア代表MF/現ユベントス監督)を彷彿とさせた。

 29分に美しい直接FKで同点ゴールを挙げると、76分の勝ち越しゴール、79分のPK奪取の起点に。ジュビロ磐田の3ゴールすべてに絡む活躍は、もちろん素晴らしかった。

 しかし、それ以上に印象深いのは、それこそピルロを想起させるような頭脳的かつ円熟のゲームメイクとディフェンスだった。

 長短の正確なパスをはじめ、絶妙なキープ、そして的確にゲームの流れを読む判断力。レジスタ(司令塔)として傑出した働きを見せ、ジュビロの攻撃を華麗に操った。とくにピルロの十八番でもあったバックスピンのかかった正確なタッチダウンパスは、集まった観衆のため息を誘った。
 ガンバ大阪から期限付き移籍して5試合目には、とても見えなかった。ジュビロは完全に「遠藤のチーム」だったからだ。試合後のリモート会見で鈴木政一監督はその効果をこう語った。

「遠藤は慌てずにボールと相手を動かし、チャンスを作ってくれる。とくに試合序盤はロングボールが多くなってウチらしいサッカーができなかったが、徐々にパスを繋いでいく本来の攻撃ができた。その中で周りの選手の特長を活かしてくれる遠藤の存在はとても大きい」

 そのゲームメイクと同じくらい際立っていたのが、ディフェンスだ。縦横からくるパスのインターセプト、ここぞの場面での素早い寄せ、そして仲間がプレスバックして敵を抑えている際の絶妙なボール奪取など、円熟の守りを何度も披露した。同じくスピードやパワー、体格の不足を、判断力や戦術センスで補ったピルロのように。
 

次ページ同世代のピルロはすでに指導者だが…

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