「坂元対策」に苦しむC大阪が抱える課題とは?打開のキーマンとなるのは…

2020年10月25日 多田哲平(サッカーダイジェスト)

「“そこ”を上手く使えるか」(清武)

絶対的な司令塔の清武。豊川ら2トップをいかに活かすか。(C)SOCCER DIGEST

 天皇杯への切符と来季のACL出場権を手に入れることができるのか。

 首位の川崎フロンターレに続き長らく2位の座に居座っていたセレッソ大阪だが、24節の浦和レッズ戦で1-3と敗れ、ガンバ大阪と順位で並ばれることになった。

 浦和戦で露呈した課題が、攻め手の少なさだった。右サイドハーフを務めるドリブラーの坂元達裕が封じられ、単調な攻撃ばかりになりがちだったのだ。

 清武弘嗣は9月のインタビューで以下のように言っていた。

「タツは1対1で突破できる。でも、これからは対策されるだろうし、タツの仕掛けが止められた時に、次はどう崩すかが課題になる」

 まさに、その課題が表われたのが、浦和戦だったのだ。

 浦和はC大阪の攻撃に入念な対策を講じていた。坂元が入るであろう右サイドからのクロスに対応する守備練習を行ない、イメージを膨らませて臨んできていたのである。その光景は公開練習でも見られた。

 先制したまでは良かったものの、チーム随一の打開力を誇る坂元が封じられると徐々に勢いを失っていったのは明らかだった。結局C大阪は反撃しようにも糸口が見いだせず、今季2度目の逆転負けを喫したのだ。
 
 ただし、そうした状況で見えた光明もある。それが前節から2試合連続ゴールを決めた豊川雄太の存在だ。

 前節の横浜戦で途中出場から2ゴールを決めた豊川は、浦和戦でも躍動。抜群のスピードを活かして積極的に相手ディフェンスラインの背後に抜け出すと、度々ビッグチャンスを創出。レアンドロ・デサバトの縦パスに抜け出した22分のシーンや、クリアボールにいち早く反応してDFふたりを振り切って先制点を決めた28分の場面などは、今後にも期待を抱かせるようなプレーだった。

 豊川は今後さらに得点を重ねるためのポイントを語る。

「今日はシュートを3本、4本と打てているので、決め切ることが大前提として、シュート数を増やすこと、動き出しの部分で、出し手に対して要求することやコンビネーションも高めることも必要です。個人としても、まだまだ下手くそなので。出し手にはうまい選手が揃っているので、あとは自分の動き出しを磨くことも大事だと思います」

 抜け出しに長ける豊川を活かした攻撃パターンの確立は、ひとつの打開策になるだろう。

 清武は前述したインタビューの流れで、こんなことも言っている。『FWにはターゲットになる都倉賢選手やブルーノ・メンデス選手、スペースで受けるのが巧みな奥埜博亮選手がいて、改善しやすいのでは?』と質問した時の答だ。

「本当にやりやすいです。他にもトシ(高木俊幸)、トヨ(豊川雄太)とか裏に抜ける選手もいるので、そこを上手く使えるか。極力確実にボールを回すのがチームスタイルですが、タイミングを見て積極的に縦パスを狙っていきたいです」

 まさに清武が言うように、坂元が対策されつつある今、2トップをいかに活かすかが停滞感打破のカギになる。豊川らFWに注意が向けば、今度は坂元の警戒が緩むはずだ。攻撃の幅を広げられるか。この課題を乗り越えた先に、天皇杯出場と来季ACL出場権が見えてくるはずだ。

取材・文●多田哲平(サッカーダイジェスト編集部)
 

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